第621章 骨董は骨董のまま

遠藤信次は危険な笑みを浮かべ、鈴木月瑠の手を掴んで行かせないようにした。「僕は君のお兄さんだよ、家族なんだ。君は僕を守らなきゃいけない。君はスープを飲んで、僕は肉を食べる。これが家族というものだよ、分かる？」

鈴木月瑠は「……」

彼女は手首を引き抜き、怠惰な様子で唇を上げた。「もし脳外科に行く必要があるなら、9.9割引で紹介してあげられるわ」

遠藤信次は「……」

周りの若い紳士たちは笑いを堪えていた。

鈴木月瑠は遠藤信次の頭がおかしくなったのかもしれないと思い、タピオカミルクティーを持って立ち去り、遠藤信之にメッセージを送った。

【四兄さんの頭がドアに挟まれたみたい】

会議中の遠藤信之はそのメッセージを見て、口角が引きつった。「……」

彼は鈴木月瑠が遠藤信次に会ったことは分かったが、何が起こったのかは分からなかった。

遠藤信之：【何があったの？】

鈴木月瑠：【私にスープだけ飲ませて、肉は食べさせてくれないの！】

これはいけない！

遠藤信之は激しく机を叩き、幹部たちを驚かせた。

彼は直接鈴木月瑠のスクリーンショットを家族グループに送り、遠藤信次をメンションした：【お前の言ってることが人の言葉か見てみろ】

遠藤信次：【……】

鈴木月瑠はタピオカミルクティーを抱えてショッピングモールを出ると、ポケットの携帯が振動し始めた。

取り出して見ると、静墨からの電話だった。

静墨の怠惰な声が受話器から聞こえてきた。「月瑠姉、時間ある？ちょっと助けてほしいんだけど」

「言って」鈴木月瑠は怠惰な口調で尋ね、壁に寄りかかって足を組み、不良っぽい姿勢をとった。

「大したことじゃないの、ただオークションがあって、目利きをお願いしたいの」

静墨はちょうどオークション会場に車で到着し、ドアを開けて降りると、周囲の視線が彼女に集中した。

彼女の傍を通り過ぎる男性たちは、思わず彼女を見つめずにはいられなかった。

「住所を送って」

鈴木月瑠は電話を切り、一橋貴明にメッセージを送った。

一橋貴明：【竹内北に送らせる】

鈴木月瑠：【うん】

一方、静墨が車から降りたとき、マイバッハの中に座っていた数人の男性も彼女を見つめていた。

「若君、鈴木月瑠さんのお友達です」助手席の小春楓は静墨に気付き、目を閉じて休んでいた鳳古平に報告した。