第620章 バカな質問

鈴木月瑠は口角を少し上げ、淡々とした口調で言った。「彼女は気付かないわ」

遠藤信博はようやく安心した。

「気分はどう?」

鈴木月瑠は遠藤信博にスマートフォンを渡し、自分のスマートフォンを開きながら、何気なく尋ねた。「一緒にやる?」

遠藤信博は唇を噛み、不確かに尋ねた。「本当に一緒にやってくれるの?」

鈴木月瑠は遠藤信博がよくプレイするゲームにログインし、清らかな表情で言った。「あなたの手の速さを見てみましょう」

「うん!」

遠藤信博は興奮して、急いでゲームを開き、ルームを作って鈴木月瑠を招待した。

しかし、鈴木月瑠の装備と段位が低いのを見て、少し躊躇しながら尋ねた。「姉さん、装備の練習が必要?」

「いいえ、大丈夫」

鈴木月瑠は綺麗な目を細め、淡々とした眼差しを向けた。

翌日、朝七時半。

鈴木月瑠は珍しく早起きし、一階で朝食を食べていた。

遠藤母さんは鈴木月瑠が破天荒な早起きをしているのを見て、一瞬驚き、高慢な態度で彼女の向かいに座った。

「太陽が西から昇ったの?こんなに早く起きるなんて!」遠藤母さんは冷ややかに笑った。

鈴木月瑠は遠藤母さんを見もせず、ゆっくりと口を開いた。「早起きして恋愛よ」

遠藤母さん:「……」

お粥を盛ったばかりの遠藤音美の手が震え、お椀のお粥がこぼれ、手が赤くなり、顔色が真っ青になった。

「気を付けなさい。その手は国の誇りになるのよ」遠藤母さんは急いで氷を取り、遠藤音美の手を冷やし、心配そうだった。

遠藤音美は目の端に憎しみの色を浮かべ、唇を強く噛んだ。

鈴木月瑠は口角を上げ、目の奥に冷たい光を宿し、意味ありげな笑みを浮かべた。

遠藤信博は欠伸をしながら階段を降りてきて、ドタドタと階段を駆け下り、朝食を食べに来た。鈴木月瑠の方を見て「お姉ちゃん、今日は学校に送ってくれない?」

遠藤母さんと遠藤音美は眉をひそめ、遠藤信博を見た。

「この子ったら……」遠藤母さんが叱ろうとしたが、鈴木月瑠に遮られた。

鈴木月瑠は淡々と言った。「いいわよ」

食事を終えた後、遠藤信博は鈴木月瑠の手を引いて、家庭教師の車に乗ろうとした。

鈴木月瑠は冷淡な口調で言った。「家庭教師の車は必要ないわ。迎えが来てるから」