傍らにいた中村少華が携帯を振りながら言った。「もう録音して七男の若様に送りました」
松本旻は「……」
彼は中村少華を無視し、池田ふうた兄弟に言った。「彼女は目利きの達人忘優だ。今回は騙されることはないだろう」
「騙されたのはお前だけだ」池田ふうたはお茶を啜りながら、ゆっくりとした口調で言い、目尻で松本旻を横目で見た。
松本旻は池田ふうたを睨みつけ、怒りで言葉が出なかった。
司会者が登壇し、オークションが正式に始まった。
全員が展示台に目を向けた。
展示台には青花磁の茶碗があり、口径は通常の茶碗よりも少し小さく、繊細で上品だった。
司会者が言った。「これが今回のオークションの最初の骨董品です。中国宋の時代の大詩人蘇軾の茶碗で、開始価格は50万円です」
「この茶碗はまあまあだな」