第622話 誰がより金持ちか

傍らにいた中村少華が携帯を振りながら言った。「もう録音して七男の若様に送りました」

松本旻は「……」

彼は中村少華を無視し、池田ふうた兄弟に言った。「彼女は目利きの達人忘優だ。今回は騙されることはないだろう」

「騙されたのはお前だけだ」池田ふうたはお茶を啜りながら、ゆっくりとした口調で言い、目尻で松本旻を横目で見た。

松本旻は池田ふうたを睨みつけ、怒りで言葉が出なかった。

司会者が登壇し、オークションが正式に始まった。

全員が展示台に目を向けた。

展示台には青花磁の茶碗があり、口径は通常の茶碗よりも少し小さく、繊細で上品だった。

司会者が言った。「これが今回のオークションの最初の骨董品です。中国宋の時代の大詩人蘇軾の茶碗で、開始価格は50万円です」

「この茶碗はまあまあだな」