第629章 子供は無実

しかし、以前ここに来た時はずっとノックしても反応がなく、夜中まで誰も出てこなかったので、中村楽がこちらに戻っていないことが確認できた。

彼らは中村楽に電話をかけようとしたが、電話はとっくに中村楽にブロックされていた。

中村お父さんはそれを思い出すと腹が立って仕方がなかった。確かに彼らは中村楽に申し訳ないことをしたが、中村霜はもう死んでしまい、中村お母さんも報いを受けた。

人は死んだら全てが水に流せるはずなのに、まだ許せないことがあるのだろうか?

今、養母が癌になって、中村楽は鈴木月瑠に治療させることができるのに、彼女は全く鈴木月瑠の助けを借りようとしない。

なんて冷血で薄情な!

中村楽はこの夫婦を見た時、明らかに一瞬戸惑ったが、すぐに鈴木唯一を抱きしめ、無表情で歩み寄った。