第630章 人に治療を頼む

中村楽は頷いて、鈴木月瑠にお茶を注ぎながら尋ねた。「古代民族のことは、どうなっているの?」

「まだ何も分かっていないわ」

鈴木月瑠は鈴木唯一を寝室で宿題をするように言い、タバコを一本取り出した。上がり気味の眉には冷たさと妖しさが漂っていた。「前回あなたにメッセージを送ってきた奴、最近は大人しくなったわ。彼らの動きも見られないし」

「前に私が静墨と競売会に行った時、鳳古平がギリシャの王冠を落札したの。彼は、この王冠は本来私のものだと言ったわ」

「私の推測だけど、巫族はもう世に出ているか、あるいは巫族の前身がギリシャ王室だったんじゃないかしら」

彼女は指先で素早くスマートフォンを操作し、調べたギリシャ王室の資料を全て中村楽のスマートフォンに送信した。

中村楽は物憂げに眉を上げ、タバコの灰を落としながら、目を落として見た。