黒田夫人は、この心の黒い夫婦と長々と話をする気にもならず、すぐに鈴木家へ向かった。
しかし、鈴木のご家族は鈴木月瑠がまだ帰っていないと言い、彼女は鈴木家で待つしかなかった。
夜の11時になって、やっと一橋貴明が鈴木月瑠を送り届けた。
鈴木月瑠は玄関に入るなり、そこに座っている貴婦人を見て、少し冷たい目つきで鈴木太夫人の方へ歩み寄った。「お祖母様、お客様がいらっしゃいますね」
「ええ」
鈴木太夫人は頷き、鈴木月瑠に紹介した。「月瑠、こちらは黒田夫人よ。中村奥様のお母様だわ」
鈴木月瑠は淡々とした口調で言った。「黒田夫人」
「鈴木月瑠さん」
黒田夫人は非常に好意的な態度で、さらに誠実な口調で言った。「私が鈴木家に来た意図はもうお分かりでしょう」
「本日私が参りましたのは、まず不肖の娘に代わって、鈴木月瑠さんと中村楽にお詫びを申し上げたく、そして二つ目は、鈴木月瑠さんに私の不肖の娘を救っていただきたいと願うためです」