デルタ中核基地でどんな実験が行われているのか、鈴木月瑠は前回のチップから、ある程度推測できていた。
デルタの歴史上、かつて一度の動乱があったと聞いている。
二十年前のことだ。
当時、外部の数多くの人々がこの魅力的なデルタに目を向けていたが、後に、動乱は内部で強力に押さえ込まれた。
鈴木月瑠はデルタで数年過ごし、黒川嶺から二十年前の出来事について聞いていた。実験があまりにも先進的すぎたために、動乱が引き起こされたという。
脳に埋め込まれたチップと合わせて考えると、鈴木月瑠はその秘密の実験が、人間そっくりのロボットを作り出そうとしていたことを知った。
普通のロボットではなく、人間の思考を持ち、超強力な戦闘力を備え、不老不死のロボットだ。
「なるほど」
池田ふうたは納得したように頷いた。「そのような存在を作り出そうとするなら、秘密結社とデルタの原則は、あまり一致しないように思えますね」