コンテストの審査員が次々と席に着き、清水秋と山中聡は副會長の席に座り、真ん中の空席は會長の小原舟の席だった。
遠藤音美は空席を一瞥し、山中聡から送られてきたメッセージを見て、唇に勝利を確信した笑みを浮かべた。
鈴木月瑠は無関心そうに座ってスマホを弄っていると、小原舟からLINEが届いた。
小原舟:【月瑠ちゃん、人家の飛行機が遅延しちゃって、到着まで約1時間かかりそうなの。待っててね~】
この気持ち悪いメッセージを見て、鈴木月瑠は口角を引きつらせながら返信した:【タピオカミルクティー買ってきてね】
小原舟:【はいよ~月瑠ちゃんの言うことなら何でも聞くよ。師匠はどう?欲しい?】
鈴木月瑠はスマホを一橋貴明の前に掲げ、笑いながら言った:「タピオカミルクティー飲む?」
一橋貴明はLINEの内容を見て、口角に笑みを浮かべた:「飲むけど、お礼はないよ」
鈴木月瑠は笑いながら、小原舟にLINEを返信した。
清水秋は小原舟がまだ途中だと説明し、そしてコンテストの開始を宣言した。
審査員席の採点は非常に厳しく、そのため、最初の十数人の参加者の得点は低く、後の参加者たちは緊張で落ち着かない様子だった。
15番目の参加者が登場した時、清水秋は表情を曇らせ、容赦なく言い放った:「書道家は創作能力を重視し、個性を際立たせることが求められます。模倣ではなく。あなたは石田様の作品を模倣しました。これは書協の規則に反します。0点とします」
その参加者は青ざめた顔で、やむを得ずコンテスト会場を去った。
他の参加者たちは冷笑を抑えきれなかった:「書協は模倣禁止と言っていたのに、本当に命知らずがいるとは」
傍らの遠藤音美は急に顔色を失い、無意識に両手を握りしめた。
彼女は掌の中の易安上人の身分を表す勲章を見つめ、深く息を吸い、動揺する心を抑えた。
この勲章は、彼女が天空で注文して見つけたものだった。
雲書は小原舟が創始したものだが、易安上人も雲書を書くことができ、小原舟の風格によく似ていて、ほとんど同じようなものだった。
ただし、易安上人は控えめな人で、わざわざ言及されない限り、書道界でもこの易安上人のことを覚えている人はほとんどいないだろう。