第661章 呪術族の嫡女

鈴木月瑠は唇の端を引き上げ、言った。「ちょうどいいわ。中村楽は中村古族の嫡女かもしれないから、この件について調べてもらえないかしら」

そして、中村楽の魂の交換の件について、巫啓に説明した。

「中村家の嫡系は確かに魂の交換の異能を継承できますが、全ての嫡系がそうというわけではありません」

巫啓は少し考えてから口を開いた。「中村家には行方不明になった嫡長女がいて、対外的には亡くなったとされています。現在の中村の嫡女は中村保美です」

「それなら、中村楽が中村の嫡女であることは間違いないわね」

「巫族の分家である以上、これは巫族の家庭内の問題でもあります。私が中村家の動きを見張っておきましょう」

彼は巫族若旦那の立場で中村古族に警告を発すれば、向こうも暫くは大人しくなるはずだった。