巫啓は口元に微笑みを浮かべた。「巫族はすでにギリシャ王室に徐々に浸透しています。今、王位に座っているのは、血筋からいえば、あなたの従伯父の家系です」
従伯父だけで、実の伯父でさえないのだから、権力を手に入れた後、巫族と死に物狂いの戦いをしても、王位を手放そうとしないのも当然だ。
巫啓から、鈴木月瑠は巫族も霊族が当時用いた方法を踏襲し、巫族を人々の前に現そうとしていることを知った。
ただし、長老会と巫啓たちの間で意見の相違が生じていた。
長老会は直接ギリシャの王権を奪い、巫玉木を鳳古平と結婚させることを提唱していた。そうすれば、たとえ巫族の身分が露見しても、霊族が支えてくれるので、何も心配することはないと。
一方、巫啓はそのような生き物の塗炭の苦しみを避けたいと考え、さらに巫玉木を政略結婚の駒にすることを望まず、この妹を犠牲にしたくなかった。