第660章 解決策を探す

巫啓は口元に微笑みを浮かべた。「巫族はすでにギリシャ王室に徐々に浸透しています。今、王位に座っているのは、血筋からいえば、あなたの従伯父の家系です」

従伯父だけで、実の伯父でさえないのだから、権力を手に入れた後、巫族と死に物狂いの戦いをしても、王位を手放そうとしないのも当然だ。

巫啓から、鈴木月瑠は巫族も霊族が当時用いた方法を踏襲し、巫族を人々の前に現そうとしていることを知った。

ただし、長老会と巫啓たちの間で意見の相違が生じていた。

長老会は直接ギリシャの王権を奪い、巫玉木を鳳古平と結婚させることを提唱していた。そうすれば、たとえ巫族の身分が露見しても、霊族が支えてくれるので、何も心配することはないと。

一方、巫啓はそのような生き物の塗炭の苦しみを避けたいと考え、さらに巫玉木を政略結婚の駒にすることを望まず、この妹を犠牲にしたくなかった。

さらにギリシャ王室がそこに横やりを入れ、現在直面している問題は、長老会が何か行動を起こせば、外界で報道されるニュースは王位争いではなく、巫族の身分に関する報道になるということだ。

その時、たとえギリシャの王位を手に入れても、巫族嫡系は大きな打撃を受けることになる。

その時、他の古代民族が隙に乗じて入り込めば、巫族は全滅することになるだろう。

三方が膠着状態に陥り、現在の状況を維持するしかない。

解決の鍵は鈴木月瑠にあった。長老会はすでに巫啓とウィックス公爵ご夫妻に圧力をかけており、鳳古平とギリシャ王室が出面してようやく押さえ込んだのだ。

巫啓の琥珀色の瞳に、少しの憂いが浮かんだ。「実際、私たちは王室と密かに、ある程度の合意に達しています」

この合意内容は、王室が長老会の野心を抑え、霊族との結婚は構わないが、必ずアイリスプリンセスが嫁がなければならないというものだった。

長老会は当然承諾しなかった。結局のところ、巫玉木の才能は巫族嫡系で最高であり、宿命論もあることから、政略結婚の最適な人選だったからだ。

一方で、王室はまだ長老会のギリシャ内閣での権力を制御しており、もし長老会が政権を覆そうとすれば、内閣大臣である巫族嫡系の身分が暴露されることになる。

そして他方では、ウェールズ公爵ご夫妻も長老会を牽制し、長老会がギリシャ王室に手を出すことを防いでいた。