第618章 ゲームなんかやって何になる?

「鈴木月瑠、私の母は年上なのに、どういう口の利き方をしているの?」遠藤音美は怒り心頭で、鈴木月瑠を睨みつけた。

鈴木月瑠は遠藤音美を無視し、見向きもせず、目は暗く沈んでいた。投げやりな口調で「誰がBしか取れないって言ったの?」

「Sだって、私が取りたければ取れるわ」

彼女の真っ赤な唇が軽く上がり、その言葉は傲慢で邪悪さを帯び、さらに無関心な冷たさが滲んでいた。

遠藤音美と遠藤母さんの表情が目まぐるしく変化した。

遠藤母さんは笑い出し、皮肉を込めて言った。「あなたのような下手な字でSが取れるの?書協があなたの物だと思っているの?」

それを聞いて、鈴木月瑠は口角を上げ、ゆっくりと言った。「私の家のものかどうかは重要じゃないわ。でも、あなたの家のものじゃないことは確かよ」

遠藤母さんは軽蔑的に笑った。「自分が凄いって言うなら、賭けをしましょう。もしSが取れなかったら、音美に謝罪するのよ!」

鈴木月瑠の整った眉目が少し上がり、意味深な笑みを浮かべながら「負けたらどうするの?」

遠藤母さんは鈴木月瑠が勝つはずがないと思い、即座に答えた。「好きにすればいいわ、どうせ勝てないんだから!」

「私は何もいらないわ、お金だけで十分」

鈴木月瑠は物憂げに言った。「もし私の評価がSだったら、書道大会の優勝賞金の10倍を支払ってもらうわ」

書道大会は評価の後に開催され、優勝賞金は1000万円で、10倍なら1億円になる。

「いいわよ!」遠藤母さんは即座に同意した。

傍らの遠藤信之は意味深な笑みを浮かべた。

この1億円で、自分への教訓を買うのも悪くない。

鈴木月瑠は顎を引き、目を細め、突然投げやりに笑った。その笑い声が空気の中に漂った。「随分と気軽に承諾したわね」

なぜか、遠藤音美は胸の中に不吉な予感を感じた。

しかし遠藤母さんは既に鈴木月瑠と賭けを交わしてしまい、今さら覆すわけにもいかなかった。

「当然よ!」

遠藤母さんは眉をしかめ、顎を上げ、傲慢な声で言った。「誰でもSが取れるわけじゃないのよ」

「書協は他とは違うわ。みんな骨の髄まで高潔な老人たちよ。お金なんて通用しないわ」

「うちの音美は書協副會長に師事しているのよ。あなたときたら、暇つぶしに下手な字を書いているだけでしょう」

「……」

そう言いながら、彼女は鈴木月瑠を横目で見た。