鈴木月瑠はこれらのものにあまり興味がなく、静墨と部屋を取ってゲームをしていた。
その古い医学書が競売にかけられた時、鈴木月瑠は目を上げて見た。
「これは競り人が少ないはずだから、手に入れやすいわ!」静墨もスマートフォンを置いて、鈴木月瑠の綺麗な横顔を見た。
鈴木月瑠はうなずいた。
古い医学書のような競売品は、医学を理解している人だけが競り合うものだ。
会場には名家の若者が多く、医学を学ぶ者は少なかったため、入札者は以前ほど多くなかった。
鈴木月瑠は少ない金額で、より深い医学知識を学び、それを活かして治療で稼ぐことができる。
ふむ……
彼女は本当に賢い子だ!
「この古医学書は中国晋の時代のもので、開始価格は三十万です。」
司会者の言葉が終わるや否や、鈴木月瑠は競り札を上げた。「四十万!」
他の人も叫んだ。「四十五万!」
「五十万!」
「五十五万!」
「六十万!」
現在、四、五人ほどが競売に参加している。
二階の目立たない普通の個室で、鳳古平は足を組んで座り、悠々とチェスを指していた。
その気品ある様子は、まさに謙虚な君子そのものだった。
小春楓は恭しく尋ねた。「若君、あの古医学書ですが、鈴木月瑠さんが既に入札に参加していますが、私たちも値をつけましょうか?」
鳳古平は自分の黒い駒を置きながら、淡々と言った。「彼女に譲ろう。」
小春楓は鳳古平の意図を理解し、競売には参加しなかった。
鈴木月瑠の方では既に百万まで上がっており、他の数人はもう競り合う気がなさそうだった。
中国晋の時代の誰が編纂した医学書なのかも分からず、内容も他の医学書と重複している部分があるかどうかも不明だった。
落札しても実用性はそれほど高くなく、コレクション用にしかならない。
さらに、彼らは皆鈴木月瑠の身分を知っており、彼女に顔を立てたいとも思っていた。
そのため、もう値段を上げるのを止めた。
百万で、鈴木月瑠は自分の興味のあるものを手に入れた。
その後、静墨もカルティエのサファイアブローチを落札した。
競売会はすぐに終盤に近づいていた。
最後を飾るのは、ギリシャ由来のルビーの王冠と、有名画家蘭の油絵だった。
「あの王冠は私の憧れの王冠よ。」静墨はそのルビーの渦巻模様の王冠をじっと見つめた。