第22章 俺の体を欲しがる

次の日、高倉海鈴が目を覚ますと、別荘の下階が異常に静かなことに気づき、昨日藤原徹が使用人たちを全員追い出したことを思い出した。

藤原徹は長い脚を組んで、ソファに寄りかかりながら書類に目を通していた。高倉海鈴が階段を降りてくるのを見ると、顎をダイニングの方向に軽くしゃくって言った。「朝食を食べに行け」

高野広がキッチンから顔を出して「奥様、お目覚めですか?朝食はすぐできますよ」

高倉海鈴はダイニングに向かい、椅子を引いて、片手で顎を支えながら、キッチンで忙しそうにしている高野広を見つめた。「どうして高野さんが料理を?新しい使用人は来ないの?」

高野広は手を拭きながら「社長が、奥様のお気に入りの使用人を選んでいただきたいとおっしゃっていました」

高倉海鈴は「あぁ」と声を上げ、「面倒くさいわ。あなたたちで決めてくれればいいのに」

藤原徹はパンと音を立てて書類をソファに投げ、冷たい声で「選びたければ選べ!」

彼は高倉海鈴に快適に過ごしてもらいたかったのに、彼女は感謝の気持ちすら示さない!

高倉海鈴:「……?」

彼女はこっそりと高野広に手招きし、声を潜めて尋ねた。「社長、機嫌悪いの?」

高野広は言葉に詰まりながら彼女を見つめた。社長が初めて女性に優しくしようとしているのに、その女性が全く気にかけていない!

「奥様がお時間ございましたら、使用人選びをご検討いただけませんでしょうか?お時間を取らせすぎないよう、使用人たちをお呼びしますので、お気に入りの方を何人か選んでいただければと」

ここまで言われては、高倉海鈴も断れなかった。

彼女が頷くのを見て、高野広は密かにほっと胸をなでおろした。

食卓で、高倉海鈴は藤原徹の周りに漂う冷たい空気を無視し、さも当然のように彼の隣の席に座った。

高野広はこの二人を交互に見つめ、違和感を覚えた。昨日まではこの二人に何かありそうだと思っていたのに、今の様子では何もなさそうに見える!

藤原徹の不機嫌さは明らかで、高倉海鈴が気づかないはずがなかった。

眉間を押さえながら、彼女は突然藤原徹の首筋に手を置き、軽く力を入れて彼の顔を自分に近づけた。

「チュッ!」