第23章 大嘘つき

藤原徹の予想が正しければ、彼にキスをするたびに高倉海鈴は食べ物本来の味を感じることができるのだ。

嘘つき!大嘘つき!好きだなんて!彼を調味料として使っているだけじゃない!

高野広は藤原徹の表情が暗くなっていくのを恐る恐る見つめながら、「社、社長は奥様の体調を心配されているんですか?もしご心配でしたら、木村肇を呼んで奥様の全身検査をさせましょうか?」

藤原徹は冷笑して:「必要ない」

高野広:「……」

藤原徹が怒りながら書斎のドアを閉めるのを見て、高野広は心臓が飛び出しそうになった。社長の最近の機嫌は本当に変わりやすすぎる、まさに虎を伴うが如しだ。

二人の騒ぎが大きかったため、高倉海鈴は思わず顔を上げ、ちょうど高野広の助けを求めるような目と合った。

高倉海鈴:「……また怒ってるの?」