高倉海鈴は藤原徹に誕生日プレゼントを送り終えると、ネットカフェを出ようとした。
手っ取り早くしようと思ったのか、高倉海鈴は以前墨野静に送った光る棒人間のスタンプを藤原徹にも送った。彼女は無意識のうちに、藤原徹がこういう変なものを気に入るかもしれないと思っていた。
でも送ってから、藤原徹からは何の返事もなく、彼女は少し不安になってきた。
高倉海鈴は、メールの返信通知が一切ない静かな携帯を見て口を尖らせた。なんて失礼な男なんだろう。
彼女は携帯をポケットに入れ、ネットカフェの出口に向かった。しかし、店の中央まで行かないうちに誰かに止められた。黄ばんだ歯を見せながら、うす汚い男が笑いかけてきた。「お嬢ちゃん、一人?一緒に遊ばない?お兄さんが案内してあげるよ」
そう言いながら、男は彼女の顔に手を伸ばそうとした。
高倉海鈴は一歩後ろに下がって男の手を避けた。周りの人々は面白がって、「お嬢さん、竜也さんの誘いに乗りなよ。この辺じゃ相当な実力者だぜ。付いていけば損はないよ」と煽り立てた。
周りの人々の賞賛を聞いて、竜也は得意げに言った。「聞いただろう?俺について来れば、この辺りを我が物顔で歩けるようになるぜ。さあ、お兄さんと仲良くしようぜ、気持ちよくしてやるからさ」
竜也は高倉海鈴がもう断らないと思っていたが、彼女は再び一歩後ろに下がって彼の手を避けた。竜也の顔色が一変した。「このクソ女、恩を仇で返すつもりか!」
高倉海鈴はポケットを探ったが、今日は急いで出てきたためミントキャンディーを忘れていた。指をこすりながら、顎を上げて言った。「今日は喧嘩する気分じゃないから...消えな」
周りからヤジが飛んだ。
「ははは、終わったな。美人が面子を立ててくれないぞ、竜也さん」
「面白えな、見た目だけじゃなく性格も激しいじゃねえか!」
「こういう女こそ面白いんだよ。竜也さん、やっちまえよ!」
高倉海鈴の拒絶に面子を潰された竜也は、周りの声援も相まって、低い声で警告した。「お嬢ちゃん、分をわきまえろよ。俺が目をかけてやってるんだ、運がいいと思え。図に乗るなよ」
そう言いながら、強引に高倉海鈴の腕を掴もうとした。
「バキッ!」