第43章 可愛いね

高野広は不良たちを片付けた後、ドアの前で互いに見つめ合う二人を見て、試すように尋ねた。「社長、これからどこへ行きましょうか？レストランで誕生日を祝いませんか？」最後の言葉は高倉海鈴に向けられていた。

これだけ暗示しても奥様が無反応なはずがないと思っていた。

しかし実際には、高倉海鈴は無反応どころか、あからさまに失礼なあくびをしてしまった。墨野静の誕生日プレゼントを急いでいたため、昨夜はほとんど眠れず、今は眠気が押し寄せてきて、ベッドに倒れ込んで昏睡状態になりたいほどだった。

「食事は遠慮します。二人で行ってください。私は帰って寝ます。」

高倉海鈴はあくびをしながら外に向かおうとしたが、藤原徹の横を通り過ぎようとした時、腕を掴まれた。「食事はやめだ。うまいものなんてない。一緒に帰ろう。」

三階の主寝室に散らばった下書きや片付けられていない様々な機材を思い出し、藤原徹は高倉海鈴が昨夜ほとんど眠っていないことを察した。

彼は一方的に高倉海鈴を引っ張って外に向かい、高野広を一人呆然と残した。

車内。

高倉海鈴は後部座席で目を閉じて休んでおり、藤原徹は反対側に座って窓の外を見つめ、何かを考えているようだった。二人の間には大きな距離があった。

高野広は運転しながらバックミラーを密かに覗き見し、藤原徹が少しずつ高倉海鈴の方へ寄っていき、二人の間が拳一つ分になるまで移動するのを目撃した。

高倉海鈴はそもそもあまり眠れておらず、さらに藤原徹の気配が徐々に近づいてくるにつれ、頭の中の眠気は一瞬で消え去った。眉間をさすりながら、彼女は藤原徹の方を向いて尋ねた。「何かありますか？」

藤原徹はスマートフォンの画面を開いた。「これ、君が作ったのか？」

高倉海鈴は頷いた。「はい、可愛いと思って送ったんです。誕生日プレゼントにちょうどいいかなと。気に入りませんでしたか？」

藤原徹は膝の上で人差し指を軽くたたき、なかなか答えなかった。

気に入ったか？気に入ったとは言えない。彼だってバカじゃない。同じ誕生日なのに、墨野静には手作りのカフスを贈り、自分にはさっと送った光るスティックを振る線画の人。明らかにいい加減な対応だった。