今日が藤原徹の誕生日だと知った高倉海鈴は、最初は「私に何の関係があるの?」と思ったが、次に「彼にも誕生日プレゼントを用意しようかな?」と考えた。結局、彼に頼って食べ物の味を感じなければならないのだから。
そう思い立って、彼女は最寄りのネットカフェへとタクシーを走らせた。
その時、藤原徹はアパートのソファに座り、眉をひそめながらクロシオからのプレゼントを眺めていた。
銀のカフスと一枚のカード。
カードには「お誕生日おめでとう」と書かれており、署名はクロシオ。文字は力強く、奔放な筆跡だった。
藤原徹はカードを脇に置き、カフスを手に取った。銀のカフスには複雑な模様が刻まれており、よく見ると五本爪の金龍が蟠っているように見える。龍の目には黒曜石が密かに輝きを放っていた。長く見ていると、この龍が生き物のように見え、雲を駆け昇るような感覚を覚えた。