第304章 転売して人にあげた

「八尾さんは本当に優しい方ですね。三億円も寄付されるなんて、私たちなんかとは比べものになりません」

「高倉さんも一億円以上寄付されましたし、八尾さんも負けずに寄付されて、お二人とも本当に優しい方ですね!」

この時、藤原明はようやく気付いた。このオークションで、八尾夢子は意図的に高倉海鈴と競り合っていたのだと。

もし高倉海鈴が値段を上げ続けていたら、三億円以上になっていただろう。

藤原明は冷たい声で言った。「高倉海鈴は一億円以上寄付して、夢子姐は三億円寄付した。助けられる子供たちは、きっとあなたたちのことを忘れないでしょうね」

八尾夢子は全身の力が抜け、立ち上がる力さえなくなった。

もし彼女が今、公衆の面前で約束を反故にすれば、きっと皆に嘲笑され、上流社会で完全に没落するだろう。