そのとき、高倉国生は顔を曇らせて言った。「私たちを助けてくれる人がいると思う」
高倉彩芽の目が輝き、期待に満ちた表情を浮かべた。
高倉国生は仕方なく言った。「クロシオだ……国内トップクラスのハッカーだ。彼女が協力してくれれば、この問題は解決できる」
久保朱里は歯ぎしりした。
クロシオ?
あの小娘め、前回は火事場泥棒のように高倉家の株式を要求してきた。今回も頼むとなると、いったいいくらかかるのか。
そのお金は全て彩芽のものなのに、どうして部外者にあげなければならないの?
クロシオに頼むにしても、せいぜい五千万円だろう。まさかクロシオが高倉家の顔を立てないわけがない。
……
高倉彩芽がリビングでフルーツを食べていると、パソコンに突然メッセージが表示され、ハッカーネットワークに入った。誰かがクロシオのアカウントにDMを送っていた。