人々はため息をつき、なるほどと思った!
「そうよね!藤原の次男は高倉海鈴のことが好きに違いないわ!」
「藤原の次男は高倉海鈴より一歳年上で、年齢も近いし、海鈴ちゃんは美人で才能もあるし、次男は少し軽率だけど、お金持ちでイケメンだし、しかも噂一つ立ったことがないわ。彼女もいたことがないって聞くし、二人はお似合いよ!」
「藤原涼介が高倉海鈴を捨てたなんて目が節穴ね。でも藤原の次男が気に入ってくれたなんて。次男は何年も独身で、潔白を守ってきたのは、高倉海鈴の出現を待っていたのね!」
藤原明:「?」
くそっ!冗談じゃない!
俺と海鈴?
藤原明は呆然とし、そして目に恐怖の色が浮かんだ。
余計なことを言うなよ、俺を殺す気か!
寄付式が終わった後、高倉海鈴は藤原徹の元に戻った。彼は薄い唇を開いて「嬉しかった?」と尋ねた。
彼女は金メッキのトロフィーを手に持ち、「あの二人を懲らしめたから、もちろん嬉しいわ!」
藤原徹は軽く笑って「行こう」と言った。
二人が車に乗り込んだ後、高倉海鈴はパソコンを開き、クロシオのアカウントにログインした。
藤原徹は目を上げて「何をするんだ?」と尋ねた。
「もちろん、このまま簡単には許さないわ」
高倉海鈴は素早くキーボードを叩き、口元に微笑みを浮かべると、パソコンを閉じて椅子に寄りかかって目を閉じた。
……
藤原の本家。
藤原明は指を折りながらここ数日でいくら使ったか計算していた。計算してみると、この数日でたった十八億円しか使っていなかった。そのうち十六億円は学校への寄付だった。
藤原徹のあれだけの財産、死ぬまで使い切れないじゃないか!
次男は眉をひそめ、突然何かを思い出した。高倉彩芽のあまっちょろい女が、どうやって俺の金を盗めたんだ?
口座の管理はしていないが、専門チームに管理を任せているのに、理由もなく八億円が消えるなんて、誰も気付かないはずがない。
藤原明は平静を装った。
そのとき、藤原夫人の山田莉央と陸田進が入ってきた。藤原明はリモコンを押して、テレビを見ているふりをした。
陸田進は穏やかに「明」と呼びかけた。
藤原明は顔を上げ、純真な笑みを浮かべて「母さん、陸田さん」と答えた。