「高倉社長、私には一つだけ要求があります。久保朱里の株式が欲しいんです!もしあなたが承諾しないなら、高倉彩芽の件には関与しませんし、他の誰も解決できないでしょう」
高倉国生が断ろうとした瞬間、高倉海鈴が彩芽のことを持ち出したため、頭の中が真っ白になった。
クロシオさんが欲しいのは株式だけだ、承諾しよう!
彩芽を救い出せるなら、何でも構わない。
6%の株式は確かに多いが、彩芽が生み出した富に比べれば大したことはない。それに、彼らには夏目秋が残した財産がまだたくさんあるので、影響はないはずだ。
「高倉社長、久保朱里の株式が欲しいんです。分かりましたか?」
高倉国生は目を上げて久保朱里を見た。
久保朱里は全身が震えた。断片的な会話しか聞こえなかったが、株式のことは聞き取れた。