「藤原社長、私たちは皆グループの株主です。今日ははっきり申し上げますが、海鈴を呼び戻して会社を任せるか、さもなければ損を覚悟で株を売り払って、全員手を引きます!」
皆も同調して言った。「藤原涼介!彩芽のせいで会社は3億の資産を失ったんだぞ。どうやって私たちに補償するつもりだ?」
藤原涼介は青ざめた顔に無精ひげを生やし、頭の中は混乱していた。
彩芽と付き合い始めてから、すべてが変わってしまった。
彩芽は口では海鈴を狙っていないと言うが、やることなすこと全て海鈴を陥れようとしている。自分は人を見る目を誤ったのだろうか?
……
渡道ホール。
高倉海鈴が電話を切ると、執事が近づいてきた。「奥様、社長が今夜の木村社長の誕生祝いについて、一緒に行かれますかとお尋ねです。」
高倉海鈴は尋ねた。「こういうのは普通、前もって招待状が来るものじゃないの?どうして今になって?」
執事は慌てて説明した。「社長は、以前木村さんとのトラブルがあったので...それで告げかねていたのです。行きたくないようでしたら、すぐに社長にお伝えします。」
なるほど、そういうことか。
高倉海鈴は思い出した。実は当時、木村さんとの間に特に問題はなかった。ただ高倉彩芽が自分に罪を被せたせいで、木村さんが自分に手を出すことになっただけで、実際には木村さんを恨んでいなかった。
しかし、藤原徹がこのことで木村家の招待を断るとは思わなかった。確かに藤原徹は冷淡な性格で、こういった付き合いを気にかけない人だが、木村の祖父は東京の名だたる実業家だ。断れば陸田家に離間の機会を与えることになる。
執事は彼女が返事に躊躇しているのを見て、彼女が悩んでいると思い、慰めるように言った。「奥様、あまり考え込まないでください。行きたくなければ行かなくても構いません。社長は木村家なんて気にも留めていませんから。」
そのとき、高倉海鈴の携帯が鳴った。見知らぬ番号からだった。
高倉海鈴が電話に出ると、知らない女性の声が聞こえてきた。「高倉海鈴さんですか?」
高倉海鈴は少し戸惑った。この人とは面識がないようだった。「はい、そうですが、どちら様でしょうか?」
「木村香織です。」彼女は単刀直入に切り出した。「今夜の祖父の誕生祝いに来ていただけませんか?直接お話ししたいことがあるのです。」
高倉海鈴は驚いた。