第333章 母娘とも略奪者!

田村の奥様も口を開いた。「そうね、海鈴、私たち部外者でさえこの真相を知って怒りを覚えるのに、あなたのお父様とお祖母様が知ったら、きっとあの母娘を許さないでしょう。」

皆が高倉海鈴を見つめた。

高倉彩芽は息を飲み、体を震わせながら「お姉様、だめです。あなたは高倉家の人なのに、そんな…」

高倉海鈴は目を伏せ、悲しみに満ちた目で諦めたように微笑んだ。

「久保朱里が家に入ってから、私は高倉家で地下室に寝かされ、彩芽が何を望もうと、私は無条件で与えなければなりませんでした。だから…」

「彼女が私の婚約者が欲しいと言った時も、私には断る権利がありませんでした。」

皆はそれを聞いて、心を痛めた。

「久保朱里母娘は海鈴の全てを奪った。部屋も、財産も、さらには婚約者まで奪おうとした。これらのことを高倉家の方が知らないはずがない。彼らは久保朱里のやったことを認めているということですね。」

「高倉家のしつけには驚かされます。以前、海鈴のお母様が残した大金の遺産は全て海鈴の名義なのに、高倉家の方は今、海鈴のお母様の財産で暮らしているのに、本妻の娘をこんな扱いにするなんて。」

「そうよ!海鈴のお母様の事業は、全て高倉国生と久保朱里の手中にあるわ。」

「海鈴が一から立ち上げた海涼グループも、藤原涼介と高倉彩芽の手に渡ってしまった。この不倫母娘は本当に厚かましい、人のものを奪うことばかり!」

人々の口から'不倫'や'あばずれ'という言葉が次々と飛び出し、高倉彩芽は顔面蒼白になった。

これは高倉海鈴の仕掛けた罠だ。皆を使って自分を非難させている。なぜ誰も彼女の策略に気付かないのか。

高倉海鈴のあの賤しい女、今度こそ私を殺そうとしているのよ!

数人の奥様たちは急いで高倉海鈴を座らせ、悲しまないように言い、自分たちが正義を取り戻すと約束した。

藤原明は隅に移動し、電話で小声で話した。「徹、私の言ったことは全部聞こえたよね?確実に海鈴を傷つけさせていないよ。」

藤原徹は笑って答えた。「よくやった。」

藤原明は誇らしげに顔を上げた。「じゃあ、もう帰っていい?友達が待ってて…」

「待て。」藤原徹の声が冷たくなった。「まだ一つ解決すべきことがある。急いで帰るな。お前は東京大学の寄付者で、将来の株主なんだぞ。」

藤原明は「?」

自分が寄付者?