規定によると、八尾夢子は間違った材料を使用したため、罰則を受けるべきで、軽ければ減点、重ければ失格となるはずだが、現状は少し厄介な状況だった。なぜなら、材料を間違えて取ったのは田村浩で、八尾夢子は全く知らなかったからだ。
責任者は困惑した表情を浮かべた。ZRの社長が応接室にいるため、この件を適切に処理できなければ、悪影響を及ぼし、今日で仕事を失うことになるかもしれない。
彼は少し考えてから、咳払いをして言った。「田村浩さん、コンテストに参加する前に皆さんルールの詳細を確認しましたよね。今回あなたは規定に違反して他人の材料を持ち去りました。あなたは…」
「ちょっと待ってください、説明させてください」田村浩は大声で叫び、その後、高倉海鈴に向かって敵意のある目つきで見た。
「確かに私は高倉海鈴の材料を持ち去って夢子に渡しました。でも、私のやったことは間違っていません!」
田村浩は怒りながら言い、八尾夢子は目を伏せて、微かに笑みを浮かべた。
高倉海鈴は少しも驚かなかった。八尾夢子がこの機会を利用して自分の足を引っ張ろうとすることは、予想の範囲内だった。
田村浩は恨みがましく口を開いた。「夢子は灰霊珠を選んで、私に取りに行くよう頼みました。でも私が来た時には最後の灰霊珠は既に壊されていたので、残っていた霊玉珠を持って行くしかありませんでした。」
「私は高倉海鈴が夢子の灰霊珠を壊すのを目撃しました!彼女の霊玉珠を持って行って何が悪いんですか!」
轟!——
全員が呆然とした。
皆は信じられない様子で、事態がこんな展開になるとは予想もしていなかった。
責任者は非常に驚いて、「これは…」
田村浩は嘲笑いながら、「高倉海鈴は夢子の材料が灰霊珠だと知って、わざと灰霊珠を壊したんです。材料がなければ、夢子がどんなにデザインの才能があっても完璧な作品を作れないでしょう。でも、私がそれを見ていたから、報復として彼女の材料を持って行ったんです。」
「高倉海鈴が先に人の材料を壊したんだから、私のやったことで自業自得を味わわせてやったんです!」