第414章 遠山初美先生の友人を装う

八尾夢子は藤原財閥を去り、松下達也と別れた後、帰宅の車に乗り込むと、優しかった表情が一転して険しくなった。彼女は誰かに電話をかけた。

相手は八尾夢子の話を聞いて、冷ややかに言った。「高倉海鈴だって?聞いたこともないわ!遠山初美先生はずっと海外で暮らしていて、私でさえめったに会えないのに、友人なんているはずがないわ」

八尾夢子は得意げに笑った。やはり予想通りだった。

彼女はためらうふりをして尋ねた。「でも、彼女はとても自信に満ちた様子でしたから、本当に遠山先生のお友達かと思いましたわ」

相手は高慢に鼻を鳴らした。「長年先生に付き添ってきたのは私だけよ。夢子、あなたは騙されたのね。遠山先生の名声が高すぎるから、友人を名乗る人がいても不思議じゃないわ。その女性、高倉海鈴っていうのね?大会で彼女に本物のジュエリーデザインを見せつけて、お灸を据えてやるわ!」

八尾夢子の目は得意げだったが、心配そうな声を装って言った。「ジェイソン、そんなことしないで。彼女はただの一般人で、ジュエリーデザインの才能なんてないのよ。今回の大会参加も、ただの意地からでしょう」

ジェイソンは怒りに燃えて言った。「デザインも分からない人間が遠山先生の友人を名乗るなんて!本当に分不相応だわ!」

電話を切ると、八尾夢子は得意げに笑った。ジェイソンは遠山初美の弟子で、ずっと先生の側にいる。彼が遠山先生には高倉海鈴という友人はいないと言うなら、それは事実なのだ。

遠山先生の友人のふりをするなんて……ふん、高倉海鈴は軽率な行動の代償を払うことになるわ。

……

その時、高倉海鈴はすでに参加申込書を提出し、招待状を手に入れていた。

今回のジュエリーデザインコンテストは全部で三つのパートがあり、まず全ての参加者にデザイン原案の提出が求められる。この過程は秘密裏に行われ、他の参加者は互いのデザイン案を知ることができないため、相手の実力も分からない。

本選では、デザイン案に基づいて完璧な作品を作り上げる。公平性を保つため、全ての材料は主催者側が用意する。

これは東京で初めて開催される大規模なジュエリーデザインコンテストだ。ジュエリーデザインは一見簡単そうだが、実際には色の組み合わせやジュエリーの使い方が非常に重要で、デザインだけでなく制作も求められ、デザイナーの技術が試される。