第527章 すみません、遅くなりました

しかも久保家の方も本当に変わっていて、実の娘を可愛がらず、養女ばかりを溺愛し、しかも公衆の面前で実の娘を貶めるなんて。さらに驚くべきことに、高倉海鈴がすでに藤原社長と結婚していることすら知らないのだ。

ある奥様が怒りを抑えきれず、「久保の奥様、私たちは皆上流社会の婦人ですが、今日はどうしても言わせていただきます。あなたの図々しさには呆れます!あなたの娘が藤原社長に恋をしているからといって、藤原社長が必ずしもその娘を好きになるとは限りませんよ。それに、実の娘が気に入らないからといって、公衆の面前で彼女の名誉を傷つけるなんて、母親失格ですよ」

「それに、藤原社長の——」

その言葉が終わらないうちに、外から冷たい女性の声が聞こえた。「申し訳ありません、遅くなりました」

一同は目を見開いた。

高倉海鈴が藤原徹の腕に手を添えてゆっくりと入ってくるのが見えた。皆が一斉に久保家の方々を見た。案の定、彼らの目には信じられないという表情が浮かんでいた。

夏目彩美は顔を曇らせた。この生意気な女め、よりによってこんな時に戻ってきやがって!

少し考えた後、夏目彩美は矢のように駆け寄り、大声で叱りつけた。「よくも戻ってこられたわね!お父様とお母様があなたをパーティーに連れてきたのに、あなたときたら一瞬で姿を消して、他の男性と長時間一緒にいるなんて。私という母親のことなど全く考えていないのね。恥を知りなさい!」

この言葉は、高倉海鈴が藤原徹と怪しいことをしていたと言わんばかりだった。一時間も経っているのだから、きっと何か後ろめたいことをしていたに違いないと。

藤原徹の瞳が深く沈んだ。

しかし高倉海鈴は唇の端を少し上げ、その後涙ながらに訴えた。「お母様、なぜ私を叱るのですか?藤原社長に取り入るように言ったのはお母様じゃないですか?お兄様の殺人教唆の記録は消せないけれど、藤原社長は追及しないと約束してくれました。お兄様は釈放されるんです」

高倉海鈴は無邪気な表情で続けた。「私はお母様がお兄様を救ったことを褒めてくれると思っていたのに...うぅ...」

傍らの高野広は無奈く首を振った。彼はすでに心の中で久保家の人々に黙祷を捧げていた。