第548章 この荒馬の主は高倉海鈴だった！

「以前、八尾さんは藤原徹のことを慕っていると言っていたのに、今では陸田若旦那と組んで徹を陥れようとしている。そして陸田若旦那は私のことを慕うと口では言いながら、私が必ず負けると賭けている。お二人とも口と心が一致していませんね！」

高倉海鈴は軽くため息をつきながら「ただ残念なことに……」

陸田進は胸がドキリとして、急に緊張し始めた。「高倉さん、どういう意味ですか？」

高倉海鈴は彼を無視し、優しく馬のたてがみを撫でた。馬は親しげに高倉海鈴に寄り添い、彼女の手に擦り寄った。

陸田進は表情を変え、突然嫌な予感がした。

高倉海鈴は実に落ち着いた様子で、さっと髪を結び上げ、振り向いて一字一句はっきりと言った。「あなたの推測は当たっています。この馬には確かに主人がいます。でも、その主人が私だということには気づかなかったようですね！」

ドーン！！

陸田進は雷に打たれたかのように、心の中が大爆発した。

彼は呆然と高倉海鈴を見つめ、貴族の若旦那らしい威厳も何もかも失っていた。

陸田進の驚愕の眼差しの中、高倉海鈴は意味深な笑みを浮かべた。「陸田若旦那、さっきも聞きましたが、なぜそんなにも私がこの馬を馴らせないと確信していたのですか。結局のところ、あなたの傲慢さが原因でしたね」

「陸田若旦那、先にお礼を申し上げます。陸田家の株式5％を私にくださるとのこと。約束されたことですから、反故にはなさらないでしょうね？」

陸田進の視線が高倉海鈴に注がれた。彼女が軽々と馬に跨り、安定した姿勢で座っているのが見えた。

彼は信じられない表情を浮かべていた。この荒馬の主人が高倉海鈴だったなんて！

その数人は集まって嘲笑っており、高倉海鈴が既に馬に乗っていることに全く気付いていなかった。

「夢子、彼女が馬から落ちれば、単なる面目失墜だけでは済まないわ。藤原社長の株式まで失わせることになるし、きっと藤原社長もすぐに彼女に飽きてしまうでしょう。そうなれば藤原奥様の座はあなたのものよ」

「そうね、あなたのような良家のお嬢様こそ藤原奥様の資格があるわ。きっと藤原社長の良き助けとなるはずよ」