第542章 10億元なんて小銭!

高野広は喜色満面で「奥様、お目が高いですね!仰る通りです!私も自分の知能が非常に高いと思います。単なる秘書というのは、確かに相応しくないですね」

高倉海鈴:「……」褒めているつもりだったの?あなたの知能は本当に感動的ね!

……

乗馬クラブ。

高倉海鈴は車から降りると、乗馬クラブの豪華さに感嘆せずにはいられなかった。見渡す限り果てしなく、周りには高級車が数多く停まっていた。上流社会の人々の娯楽施設であることは明らかだった。

藤原明はハスキー犬のように駆け寄り、高倉海鈴の前まで走ってきた。

高倉海鈴は眉を上げて「かなりの金額でしょう?」

藤原明は威張った顔で「まあまあかな、たった1億円だよ。僕にとっては小銭みたいなものさ」

彼が乗馬クラブを開いたのは金儲けのためではなく、陸田進が藤原家を引き継ぐ前に、藤原家の金を使い果たすためだった。どうせ彼が無一文になっても、藤原徹が養ってくれるから、何も怖くなかった。

ただし、この計画の実現は難しかった。なにせ藤原家は本当に金持ちすぎるのだ!

高倉海鈴は思わず驚いた。1億円が小銭?

「さあ!案内するよ。この乗馬クラブは開業したばかりで、まだ人もいないから、思う存分楽しめるよ!」

一行が乗馬クラブに入ると、その時クラブ内では数頭の立派な馬がのんびりと歩いていた。藤原明は手で指さして「海鈴、好きな馬を選んでよ」

彼女が近づいて、突然一頭の馬を指さして尋ねた。「明、この馬はどこから来たの?」

藤原明の乗馬クラブの馬は全て名高い品種だったが、高倉海鈴が指さした馬だけは普通に見え、特徴もなく、ただ体格が大きいだけだった。

高倉海鈴は驚きの表情を浮かべた。しばらく会っていなかったが、これは以前山で兄が彼女にプレゼントした馬だと分かった。

藤原徹は微笑んだ。

高倉海鈴は彼の笑顔を見て、すぐに気付いた。「これは私の馬でしょう?フランスにいたはずなのに、どうやって連れて帰ってきたの?」

馬は高倉海鈴を見るなり、興奮して彼女の方へ駆け寄り、荒い息を吐き、よだれまで飛ばしていた。