第603章 あなたの方が厚かましい

「海鈴、お父さんとお母さんが誕生日を祝いに来たわよ」久保統はゆっくりと近づき、満面の笑みを浮かべながら言った。「お父さんが離れてからそんなに経っていないのに、こんなにたくさんのお客様が誕生日を祝いに来てくれるなんて、さすは私の娘だ」

周りの人々は鼻で笑った。誰もが久保統が自分の立場を保とうとしているのを知っていた。

しかし久保統は軽蔑的な視線など気にしなかった。どう言われようと、彼は高倉海鈴の実の父親なのだ。自分の娘の誕生パーティーに来て何が悪いというのか?

久保統は困ったように言った。「本来なら姉妹二人は別々に誕生日を祝うはずだったんだが、真美がお前が寂しくなるんじゃないかと心配して、それに姉妹なんだから一緒に祝えばいいじゃないかということで、一緒に来たんだ」

高倉海鈴は久保統の言葉を聞きながら、眉を上げた。

久保真美は弱々しく装って言った。「妹、ごめんなさい。全て私が悪いの。分かってる...私のことを嫌っているでしょう?私があなたの身分を奪ってしまったから。でも私は小さい頃から久保家で育って、ただここを離れたくないだけなの。私は決してあなたから何かを奪おうとは思っていないわ。全てをあなたに譲る気があるの。この誕生日も含めて...」

「私がこうしたのは、私の名義でより多くの人をパーティーに招待したかったから。皆さんに私の妹を紹介したかったの。私は良かれと思ってやったことなのに、誤解されてしまって...妹、お姉ちゃんを許してくれない?」

木村香織は目を見開いた。この久保真美は本当に最高級の偽善者だと。

こんな状況になっても、まだこんな演技をして、こんな無実な言葉を公の場で言えるなんて?みんなを馬鹿だと思っているのか?

誤解?冗談じゃない!

四大財閥の助けがなければ、今頃は久保家の方々の尾っぽは天まで上がっていただろう。きっと高倉海鈴をどんなに嘲笑っていたことか!

彼女はこういう表裏のある行為が大嫌いだった。八尾夢子でさえ十分厚かましいと思っていたのに、この久保真美はそれ以上だった!

夏目彩美はこの機会を利用して続けた。「海鈴、私たち家族はあなたの誕生パーティーのために一生懸命準備したのよ。どうして感謝の気持ちを示さないの?真美にお礼の一言も言えないの?」

木村香織:「?」見てよ!こっちの方がもっと厚かましい!