第602話 日和見が両方に走る

もう一方の宴会場。

これらの来賓は全て青山博之たちが招待した人々で、高倉海鈴は全く関与していなかった。

佐藤家が来たのは、高倉海鈴の命の恩があったからだ。他の家族は青山家、秋山家、山下家と深い繋がりがあり、高倉海鈴の身分も知っていたため、当然彼女の誕生日会に駆けつけたのだ。

高倉海鈴が帝京に行った時、一度波紋を呼び起こしたことがあった。皆、これらの大家族が高倉海鈴を掌中の珠のように扱っていることを知っていた。

そして、皆も高倉海鈴があの方と結婚したことを知っていた。あの方は並の人物ではない。

来賓たちが宴会場に入ると、藤原家の次男、藤原明が皆にカクテルを作っているのを発見し、高倉海鈴の地位の高さをより確信した。

渡辺家の人々は、高倉海鈴が伝説のトップハッカー、クロシオである可能性を突き止めていた。だから渡辺家のお嬢様が帝京から駆けつけてきたのだ。