第745章 傲慢な社長とピュアな子犬

藤原明の言葉を聞いて、木村香織は再び恥ずかしそうな顔文字を送ってきた。

高倉海鈴は眉をひそめた。このチャットログだけで、藤原明は木村香織がZR社長のことを好きだと思い込んでいるのだろうか?

彼女は咳払いをして真剣な表情で言った。「明、あなたは純粋すぎるかもしれないわ。香織の言う意味はあなたが考えているようなものじゃないわ。これからは藤原徹と一緒に寝ているなんて話は、彼女にしない方がいいわ」

藤原明は無邪気な表情で彼女を見つめた。「どうしてですか?僕と徹は子供の頃からよく一緒に寝ていましたし、大人になっても一緒に寝ることがありますよ。何か問題でもあるんですか?」

高倉海鈴は言葉に詰まった。「……」

彼女は木村香織の頭の中で受け取られている情報がどのようなものなのかを彼に説明したかったが、藤原明の純粋な少年心を壊したくなかった。しばらく迷った末、やめることにした。

そのとき突然、携帯が鳴った。木村香織が急いで言った。「海鈴、そうそう、藤原明にも伝えてね。今回は大きな個室を予約したから、彼も来て盛り上げてほしいの!」

「あのね……もしZR社長も誘ってくれたらもっといいわ。分かるでしょ!」

木村香織は小声でつぶやいた。「海鈴、私もう遠回しに言ったのよ。ZR社長は藤原明のことをすごく大切にしているわ。最初はあの社長があなたのことを好きだと思ってたけど、実は藤原明のことを好きだったのね!」

「実際、二人ってすごく似合うと思うの。強気な社長と純情な子犬みたいな彼。このカップリング大好き!」

高倉海鈴は口角を引きつらせながら、「分かったわ、あなたの言葉は伝えておくわ」と答えた。

それを言い終えると、木村香織は再び不満を漏らし始めた。「海鈴、最近すごく悩んでるの!私たち木村家も文化人の家系なのよ。両親は作家だし、おじいちゃんは画家で、先祖も皆芸術家だったの。私だけがデザイン業界に進んだのに、全然成果が出ないの。今、伊藤家のお嬢様が東京に来て、一気に注目の的になってるわ。みんな持ち上げたり貶したりして、私はこの数日冷たい目で見られてばかり!」

高倉海鈴は眉をひそめた。「伊藤仁美のことね?」