第761話 国際油絵展

渡道ホール。

藤原徹は携帯の中のメッセージを見つめていた。冬島音は冬島志津とは何の関係もないと釈明したが、高倉海鈴が陸田進に聞かせるために意図的に言ったことは分かっていても、彼女の心の中でもそう思っているのは明らかだった。

三日後の国際油絵展。

今回の展覧会は三日間行われ、世界各地の著名な画家が招待され、それぞれが自分の作品を持参して展示することになっていた。斎藤雅也は自分の師匠である高橋研二郎と共に参加した。

高橋研二郎は既に八十歳を超え、白髪交じりで、静かに斎藤雅也に尋ねた。「君は才能のある弟子を二人取ったと聞いたが?」

斎藤雅也はすぐに伊藤仁美を手招きして前に出させた。「こちらが私の弟子の伊藤仁美です。陶磁器の名門伊藤家のお嬢様で、非常に才能があります。」