第760章 調香師の木村菫

「さっきまで香水に詳しくて、8年も使っていたって言ってたじゃないか」藤原徹は揶揄うように笑った。彼は高倉海鈴のもう一つの身分―調香師の木村菫をとうに知っていた。

彼女が動揺しているのを見て、男は暴露せずに話題を変えた。「実は今回の陸田進の主力商品は香水そのものではなく、香水瓶なんだ」

女性にとって、香りはもちろん重要だが、香水瓶の見た目も大切だ。十分に魅力的なら、彼女たちは喜んで購入するだろう。陸田進はこの点を利用して、この香水を売り出そうとしているのだ。

多くの人は香水を使用するためだけでなく、コレクションとしても購入する。美しい香水瓶を机に置いておくだけでも、幸せな気分になれるものだ。

しかし、陸田進はどんなパッケージを使えば、大衆に受け入れられるのだろうか?