第716章 権力に屈しない医師会

「藤原徹とは関係ありません。私自身の考えです」藤原明は苦笑いしながら言った。「あなたは私のためだと口にしますが、陸田進はどうなんですか？なぜ陸田進を熱心に育て、執事の座に就かせようと画策したんですか？」

「あなたは私をわざと役立たずに育てた。それは陸田進の地位を脅かすことを恐れたからでしょう。この数年間、私はあなたの言うことを聞き、東京で有名な放蕩息子になりました。そのおかげであなたは警戒を緩め、私を邪魔者として排除しなかったんです」

「だから私は幼い頃から苦労したことがありません。暗いもみじ園に閉じ込められたこともなければ、何度も死に物狂いで逃げ出すこともなく、暗殺や事故に遭うこともありませんでした。少しの知恵があって、役立たずを演じていたからこそ、今まで生きていられたんです！」

「お前...お前...」山田莉央は震える指で藤原明を指さし、激怒して叫んだ。「藤原明！何を言い出すの！私はあなたの母親よ、どうしてあなたを害するようなことをするの？」

藤原明の心臓が痛みを覚えた。彼は藤原徹が母の子供ではなく、自分と陸田進が実の兄弟だと早くから気づいていた。しかし、なぜ陸田進は両親から丁寧な教育を受けられるのに、自分は役立たずにならなければならないのか？

「藤原夫人」高倉海鈴はゆっくりと目を上げた。「おっしゃる通りです。母親が実の子供を害するはずがありませんよね」

山田莉央は不吉な予感を感じたが、反論する前に高倉海鈴は淡々と言った。「もしかしたら、あなたは藤原徹と藤原明の実の母親ではないのかもしれません」

「藤原明はあなたに少しも似ていません。藤原徹もそうです。ということは、あなたが彼らの実の母親ではない可能性があるのではないでしょうか？」

山田莉央は幼い頃から藤原徹を虐待し、藤原明は純粋な性格で、愚かを装っていたため標的にされなかった。そのため山田莉央は意図的に藤原明を役立たずに育て、傲慢で大きな過ちを犯して刑務所に入れられるか、敵に気付かれないように殺されることを望んでいた。

藤原俊介にはこの三人の息子しかいない。藤原明を潰せば、陸田進の競争相手は藤原徹だけになる。そうすれば彼らは全力で藤原徹に対抗できるのだ。