第771章 京都令嬢の面目失墜

木村香織は伊藤仁美と言い争うのが面倒で、藤原明と高倉海鈴と一緒に立ち去った。

伊藤仁美の絵が国際油絵展に出展されることを知り、伊藤家の親戚や友人が皆見学に来ていた。入り口に入るとすぐに、高橋研二郎が弟子入りしたというニュースを耳にした。

伊藤の奥様は不思議そうに尋ねた。「仁美、斎藤雅也の先生も来ているって聞いたわ。後でその長老の先生にお会いしたら、良い印象を残すように振る舞いなさいよ」

伊藤仁美の表情は暗かった。

伊藤の奥様はいつも優しく、伊藤仁美が黙っているのを見て、優しく尋ねた。「仁美、どうして黙っているの?私の言ったことを覚えているかしら?」

伊藤仁美は唇を強く噛みしめ、周りの人々を睨みつけていた。部外者に恥をかかされただけでは足りず、今度は伊藤家の人々までもが騒ぎを見に来ている。これからどうやって顔向けして生きていけばいいのか。