「可愛い娘だね。こんなに綺麗なのに売春宿で年寄りの相手をさせられるなんて勿体無い。俺たちの相手をしてみないか?素直に従えば、気に入ったら手元に置いてやるぞ。あんな場所で苦労するよりはマシだろう」
高倉海鈴は冷ややかな表情で、軽々と梁から飛び降り、にこやかに言った。「いいわよ!」
三人の男は彼女の言葉を聞くと、目を血走らせ、目の前の女性を熱に浮かされたように見つめた。彼らは生まれて初めてこんなに美しい女性を見た。まして彼女と一夜を共にできるなんて。この女を味わえるなら、この人生に悔いはないと思った。
彼らは突然狂ったように、急いで高倉海鈴に向かって突進してきた。
……
竹屋英治と警察が到着した時、上階の部屋から悲鳴が聞こえてきた。
一同は顔を曇らせた。藤原奥様が上にいるのだ。もしこの奥様が怪我でもしたら、髪の毛一本でも失われたら、藤原徹に説明がつかないではないか!
傍らの高野広は「……!!」と思った。まずい、奥様が人を殺してしまったのではないか?
一同は躊躇せず、急いで階段を上がった。警官たちは銃を構え、悪人が藤原奥様を傷つけることを恐れていた。しかし、ドアを開けると、目の前の光景に一同は呆然とした。
三人の男は顔中あざだらけで、凶暴な形相で殴り合っていた。彼らは互いを睨みつけ、傍らでくつろいでいる高倉海鈴にも、入ってきた一同にも気付いていなかった。
入り口に銃を持った警官たちが立っていても、三人は狂ったように殴り合い続け、お前が一発なら俺も一発と、誰も引き下がろうとしなかった。
一同が最も心配していた藤原奥様は、その時角に座り、三人の男たちの殴り合いを興味深そうに見つめていた。まるで芝居でも見ているかのように。
高野広は「……」と思った。奥様、こんなに人がいるんですから、少しは控えめにしてください!
刑事課長の田中峰の号令一下、警官たちは全員で三人を取り押さえた。高倉海鈴はようやく視線を戻し、ゆっくりと立ち上がった。
田中峰は藤原奥様を観察した。これまで多くの誘拐事件を扱ってきたが、被害者が全く怯えず、むしろ犯人たちの喧嘩を興味深そうに見ているなんて初めてだった。彼は咳払いをし、事件の詳細を尋ねようとした時、突然高倉海鈴は目を潤ませ、鼻をすすった。
高野広は「……」と思った。やはり避けられないのか?