第901話 嵐エンタメに謝罪に行く

高遠アシスタントは鈴木琴美を冷たい目で一瞥し、軽く鼻を鳴らした。「あなたたちが本当に相手を怒らせたのかよく考えてみなさい。今回の会社合併で何か問題が起きれば、あなたたち全員が代償を払うことになりますよ！」

鈴木琴美は慌てふためいた。彼女がどうして人を怒らせるようなことをしただろうか。きっと誰かの社員が目が利かずに貴賓を怒らせたに違いない！

「藤原社長と嵐エンタメの会長がどういう関係か知っているの？嵐エンタメの会長を怒らせるなんて、あなたの勇気には感服しますよ！」

鈴木琴美は顔面蒼白になり、恐怖に満ちた表情で言った。「私...私は本当に責任者を怒らせた覚えがありません。きっと部下が無礼を働いたんです。それを私のせいにするなんて...」

高遠アシスタントは冷淡な表情で答えた。「鈴木部長、あなたであれ部下であれ、嵐エンタメの責任者を怒らせたのなら、あなたがこの件を解決するべきです。早めに嵐エンタメに謝罪に行くことをお勧めします。十分に誠意を見せれば、相手も許してくれるかもしれませんし、仕事も守れるでしょう。」

そう言って、高遠アシスタントは意味深な笑みを浮かべた。「夏目さんは嵐エンタメの会長と親友だと聞いていますよ！夏目さんに仲介してもらえばいいじゃないですか！彼女が間に入れば、どんな大きな問題でも解決できるはずです。」

鈴木琴美の目が突然輝いた。夏目小夜子のことをすっかり忘れていた！彼女は振り返りもせずに社長室へ駆け込んだ。夏目小夜子は彼女の話を聞いた後、表情が硬くなった。

この数年間、彼女は嵐エンタメの会長の友人という立場を利用して多くの利益を得てきたが、実際には一度も相手に会ったことがなかった。相手が男性か女性か、年齢さえも全く知らなかったので、鈴木琴美を助けることはできなかった。むやみに出しゃばれば正体がばれてしまい、そうなれば厄介なことになるだろう。

夏目小夜子はしばらく躊躇した。「ちょっと待ってください、電話してみます。」

そう言って、夏目小夜子は電話を手に取り、窓際に歩み寄り、電話をかけるふりをした。そして諦めたように言った。「連絡が取れません。おそらくまだ怒っているのでしょう。本当に嵐エンタメの責任者を怒らせてしまったのなら、直接謝罪に行くのがいいと思います。相手もそれほど厳しく対応はしないでしょう。」