第52章 教養人

陳二狗は、紫竹の籐椅子の横でしゃがみ込んで黙って煙草を吸う自分の背中が何をもたらすのか分からなかった。ただ少し疲れを感じていた。その籐椅子にはまだ、竹葉青のような蛇のような女の体温が残っているかもしれない。彼はそれに触れたくなかった。山に入って切り株に座ってはいけないのと同じように、タブーに触れることを恐れたのだ。だから、疲れを癒すためにしゃがんで一服するだけ。それは彼にとってごく自然な無意識の行動だった。SDバーで無料でもらった煙草を吸いながら、頭の中には血のように赤い口紅の色と、スキンヘッドの男の眩しい蓮の刺青が浮かんでいた。陳二狗は大きく煙を吸い込んだ。これは刻み煙草を吸っていた頃からの古い習慣だった。この都会で売っている良い煙草は大抵マイルドで、いくら吸っても肺に来ない。確かに上質な煙草の方が健康的だが、煙草の蛙癖のある陳二狗にとっては、あの胸を焼くような痛快感が物足りなかった。