第57章 結納金_3

この女霊は強く、普通の怨霊ではない.......張元清は少しずつ前に足を進め、銅鏡に近づいていった。

彼は素早く対策を考えた。魔を伏せる杵は使わないに越したことはない。吸血の刃は物理攻撃の道具で、霊体には効かない。赤い舞靴の攻撃も物理的なもので、踏みつけは霊体に効果がない......

あれこれ考えた末、お前に決めた、小バカ！！

張元清は口から陰氣を吐き出し、小バカを召喚した。

「アバ.....」丸くて可愛らしい嬰児霊が化粧台に降り立ち、だるそうに手足を伸ばした。そして、鏡の中の女霊を見た。

その瞬間、毛を逆立てた猫のように、嬰児霊はその年齢では考えられない速さで転がるように化粧台から降り、張元清の後ろに隠れ、怖がって大声で泣き出した。

......張元清は罵った：「役立たずめ、行け」

彼は嬰児霊に攻撃の指令を送った。

「アバアバ！」

命令に従うのは霊使いの本能だ。嬰児霊は薄い眉を立て、威嚇するように二声鳴くと、張元清のズボンの裾を掴んで上り、肩まで這い上がり、思い切り飛び込んだ。

丸くて太った小さな体が銅鏡を通り抜け、女霊の顔に張り付いた。

張元清はすぐに感情を沈め、意識を嬰児霊に移し、女霊の知覚力を奪った。

女霊の不気味な表情が虚ろになり、突然脳みそを失ったかのようだった。

鋼線のように致命的な髪の毛は、一瞬にして力を失い、力なく垂れ下がった。

よくやった！

張元清はすぐに小バカを呼び戻し、自分の頭の上に乗せ、振り返って走り出した。

嬰児霊の能力は3秒しか続かないが、部屋から逃げ出すには十分だった。

扉を開け、敷居を越え、張元清が庭に戻ったとき、背後で「バン」という扉の閉まる音が聞こえ、振り返ると、あの部屋の蝋燭の光は消え、真っ暗になっていた。

中庭には陰風が吹き荒れ、多くの怨霊が遠くを取り囲んでいた。彼らは夜の巡視神の気配を求めながらも、その威圧を恐れ、近づく勇気がなかった。

「早く彼らを見つけないと、全員死んでしまう....」

張元清は急いでこの庭を離れ、アーチ型の門を通って隣の中庭に来ると、すぐに謝靈熙を見つけた。

少女は庭の隅にある水がめの前に立ち、上半身をがめの中に入れ、縁を両手で掴んで必死にもがいていた。水がめの中で何かが彼女を引っ張っているようだった。

どんなに努力しても、自分を水がめから「引き抜く」ことができなかった。

徐々に、彼女のもがく力は弱まっていき、さらに弱まっていった.......

張元清はゆっくりと近づき、酒の匂いを嗅ぎ取った。身を屈めて覗くと、がめの中には濃い色の液体が揺れており、へその緒を引きずった嬰児霊が泳いでいた。まさにそのへその緒が謝靈熙の首に巻き付き、彼女を水中に引きずり込んでいたのだ。

張元清は両手で小バカを掬い上げ、その抵抗を無視して水がめの中に投げ込んだ。

へその緒の嬰児霊は同類が入ってくるのを見ると、すぐにへその緒を緩め、小バカに向かって歯をむき出した。

張元清は謝靈熙の肩を掴み、力強く引っ張って、彼女を水がめから引き上げた。

「ゴホッ、ゴホッ......」

謝靈熙は激しく咳き込み、顔を真っ赤にして、前髪と鬢の毛が濡れて額と頬に張り付いていた。

十数秒後、彼女は肺の不快感が少し落ち着き、張元清の顔を見て喜びの涙を流した：

「王泰お兄さん、助けに来てくれたのね。うぅ、もう二度と霊異エレメントのあるダンジョンには入りたくない。怖すぎる.......

彼女にとって、これが初めての霊異要素のあるダンジョン体験だった。

「なぜここにいるんだ？」張元清は水がめを見つめた。

二匹の嬰児霊が酒の中で戦いを始め、互いに噛みつき、絡み合い、濃い色の液体に波紋を立てていた。

謝靈熙はつま先立ちしてがめの中を覗き込み、先ほど大量に飲んでしまったことを思い出して吐き気を催した：「気持ち悪い、気持ち悪い......」

しばらく嫌悪感を表した後、やっと張元清の質問に答えた：

「王泰お兄さん、大広間から出たとき、霧が立ち込めて、気がついたら皆いなくなっていたの。それで探しに行って、気がつかないうちにここまで来てしまって、お酒の香りがしたから、その匂いを辿ってこの水がめを見つけたの。

「これが結納金の一つかと思って、木の蓋を開けたら、がめの中から紐が出てきて、私を中に引きずり込んだの」

彼女は水がめの中のへその緒の嬰児霊を見て、先ほど飲み込んでしまった液体のことを思い出し、顔が真っ青になった：「気持ち悪い、気持ち悪い.....」

張元清は時間を計算しながら、少女を観察した：「息を止めていられる時間が長いな」

謝靈熙は首を振り、可愛らしい声で言った：「私、道具を持ってるの。生命力を回復できるやつよ。これがなかったら、とっくに水がめの中で窒息死してたわ」

そう言いながら、彼女は雪のように白い手首を上げた。そこには翡翠色の腕輪が一つあった。

生命力を回復する腕輪か......この娘も木霊使いなのか？雰囲気が違うようだが......張元清は「ふむ」と声を出し、腕輪にはそれ以上注目せずに言った：

「私について来い。彼らを探そう。まだ間に合うことを願おう」

謝靈熙は液体を少し採取し、張元清は人生で初めて同年代と戦った小バカを呼び戻し、玉石の小道に沿って屋敷の奥へと向かった。

「そうだ、あのカードを私によこせ」

「え？何のカード？」

「とぼけるな。駐車場から持ち出したカードだ。お前の尻ポケットに入れたの見てたぞ」

「.......」