雲氷はしばらくの間も、学校に行っていなかった。彼女の最後の記憶は、あの夜学校を出た後、スーパーで買い物をしようと思っていたところ、以前の先輩に出会ったことだけだった。その先輩は飲み物を二本も買って、彼女に一本渡してきた。彼女はその先輩と話したくなかったが、相手の好意を断れず、飲み物まで開けてもらってしまった。
その後、彼女はその飲み物を数口飲み、適当に会話を交わした後、別れを告げようとした。しかし、その時には既に頭がぼんやりとしていた。雲氷も世間知らずではない、むしろ何年も社会で独立して生活してきた。あのような状況になって、すぐにその先輩が渡した飲み物に問題があることに気付いた。
雲氷はすぐに叫ぼうとしたが、頭がますます朦朧としてきて、声すら出せなくなっていた。その後のことは覚えていない。なぜその夜目が覚めた時に、葉黙がいたのだろう?彼は自分の先輩と共謀していたのだろうか?
雲氷の最初の反応は警察に通報し、葉黙を逮捕させることだった。しかし、検査の結果、性的暴行を受けた形跡はなく、家の中の物も何も無くなっていなかった。唯一の被害は、ドアが蹴破られていたことだけだった。
葉黙がまだ若いことを考え、雲氷はため息をつき、彼を許すことにした。しかし、心の中での彼への嫌悪感は極限に達していた。ただ、葉黙がどうやって彼女の先輩と知り合いになったのかは、どう考えても分からなかった。
雲氷が起きて確認すると、部屋には争いがあった形跡があり、粉々に壊されたデジタルカメラまで見つけた。彼らは自分を誰が先に犯すかで喧嘩したのだろうか?雲氷はそう考えると、恥ずかしさと怒りが込み上げてきた。
翌日学校で葉黙に事情を聞こうと決めていたが、その日のニュースで完全にその考えを打ち消された。翌日のニュースでは、センチュリー広場で服を全て脱がされた二人の男性が知能障害患者にされるほど殴られ、車の上に放置されていたと報じられた。モザイク処理されていたが、雲氷はこの事件に違和感を覚えた。
雲氷はすぐにネットでニュースを検索した。案の定、聞いたこともないウェブサイトで服を脱がされた二人の姿をはっきりと確認できた。一人は鄭文喬で、もう一人は彼女を陥れた先輩だった。