途中で下車した女

寧軽雪は腫れた目を拭い、差出人のない手紙を手に取った。この手紙は自分宛てではないことは当然知っている。開けたい衝動に駆られたが、最後まで我慢した。葉黙の持ち物を丁寧に箱に収め、ようやくドアを開けた。

「軽雪、一体どうしたの?」李慕枚は目の腫れた寧軽雪を見て、自分の目すら疑った。寧軽雪は確かに泣いていた。それも相当悲しんでいるようだった。

「その箱の中には何が入っているの?」李慕枚は寧軽雪が抱えている箱を不思議そうに見つめた。寧軽雪の様子の変化は、この箱を開けてから始まったのだ。今まで一度も泣いたことのない寧軽雪を、これほど悲しませた箱の中身が気になった。

「私の物よ」寧軽雪は首を振り、李慕枚に箱を見せようとはしなかった。

李慕枚は首を振りながら言った。「軽雪、こちらの用事は終わったわ。行きましょう。今日、役所で葉黙との離婚手続きを済ませてから、そのまま渝州へ向かいましょう。お父さんと当主たちとの交渉はうまくいってないと思うわ。私たちは燕京に行く必要もなくなるし、今後の寧氏製薬は二分されることになるかもしれないわ」

「慕枚、もう少し待ちたいの。葉黙が戻ってくるかもしれない…それに、今は離婚したくないの」寧軽雪は李慕枚の提案を断った。

「どうして?」李慕枚は驚いた目で寧軽雪を見つめた。昨日まで自分を迎えに来てくれるのを喜んでいた寧軽雪が、今日になって気が変わるなんて理解できなかった。しかもここに数日滞在したいというのも不思議だった。いったい何が起きたというのだろう?

寧軽雪は首を振るだけで、答えなかった。心の中では、葉黙がいつ戻ってくるのかを考えていた。自分が思い描いていた葉黙の姿は、彼の本当の性格とは少しも一致していなかったようだ。しかし自分にはそもそも、彼のことを理解しようとしたことがあっただろうか?婚約の後も、その前も、彼のことなど全く気にかけていなかった。初めて会ったのも、寧海で彼の助けを借りようとした時だった。

李慕枚はそれ以上寧軽雪に質問しないことにした。軽雪が話したくないことを聞いても無駄だと分かっていたからだ。