招待

「葉黙、ちょっとお願いがあるんだけど」蘇静雯は少し恥ずかしそうな様子で言った。

葉黙は心の中で、やっぱりかとつっこんでみた。蘇静雯が彼に残した印象は、悪くない方だ。初めて彼女が母親を救おうと必死になっている姿を見たとき、この女性は助ける価値のある人だと分かった。前回、彼女のせいで警察署に行くことになったが、それも彼女の善意による結果だった。

「言ってみて。できることなら、そして時間もそれほどかからないことなら、必ず手伝うよ。美人を助けられるのは僕の光栄だから」葉黙は笑いながら言った。

「実ははね葉黙、あなたが笑う時は意外とイケメンだから、もっと笑った方がいいわ」蘇静雯は突然関係のない言葉を口にした。

葉黙は一瞬戸惑った。この場所の人々や物事をよく理解していたものの、心の奥底には常に警戒心を抱いている。前回警察署に行って以来、その警戒心はさらに強くなった。その警戒心は、自分の低すぎた実力によるもので、自分の正体がばれて、危機を招くことを恐れた故だ。そのため、普段の人付き合いでも冷たい態度を取りがちだった。

今、蘇静雯にそう言われると、自分は少し慎重すぎたかもしれないと感じた。本当の秘密を明かさない限り、普段はそこまで慎重になる必要はないのかもしれない。

「葉黙、実は私、あなたのことを少し調べたの……」蘇静雯はここで言葉を切り、こっそりと葉黙の表情を伺った。葉黙の表情がいつも通りに見えるから、やっと安心して続けた。「私には従妹がいてね、彼女も寧海大学を通ってるの。蘇眉っていうんだけど、あなたのことも彼女から聞いたわ」

「蘇眉とは何か誤解があったのかしら。蘇眉は少しプライドが高いけど、本当は悪い子じゃないの。まあ、彼女のことは置いておきましょう。私もそこまで彼女のことに詳しくないから。あの、ええとね……」蘇静雯は言葉を濁し、続きの言葉がなかなか出てこなかった。