「軽雪、あなたったら。宋家はあれだけの大きな家族だから、面子を重んじるものよ。もしあなたが葉黙と結婚して、すぐに葉黙に何かあったら、誰だって宋家の仕業だと疑うでしょう。宋家がそんな割に合わないことをするとは思えないわ」李慕枚は経験豊富そうに分析した。
寧軽雪は暫く黙った後、頷い言った。「わかったわ。今回も彼に借りを作ることになるけど」
李慕枚は首を振って訂正した。「軽雪、違うわ。今回はあなたが彼に借りを作るんじゃなくて、彼があなたに借りを作るのよ。私は確信してるわ。あの葉黙は絶対に、あなたが心配してることをまったく考えない人だ。むしろ喜んでいるはずよ。ねえ、こうしましょう。明日は静雯の誕生日だから、それを口実に寧海に行きましょう。静雯の誕生パーティーの後で、私があなたと一緒に寧海大学に行って、葉黙と話し合うのはどう?」
蘇静雯という女性について、寧軽雪は全く知らない訳でもない。彼女が学生だった頃、蘇静雯は燕京で有名な美人だった。ただ数年前に母親に何かあって、寧海に移ったらしい。直接会ったことはなかったものの、その女性のことは知っていた。ただし、李慕枚は蘇静雯の非常に親しい友人だ。
……
葉黙が珍しく教室に来て授業を受けている。大学の数年分の課程は基本的に独学でほぼ終えていたが、今日来たのは単純に、施修が食事に誘ってくれたからだ。施修が学校の聚味楼レストランの無料食事券を何枚か手に入れたから、タダ食いできるほどのいい話ができたから、葉黙も一緒に食べてほしいと思っただけ。
もし葉黙の寧海大学での友人と言えば、それは施修になるはずだ。通常、葉黙が教室に来れば、大教室での授業でも少人数クラスでも、施修は葉黙の隣に座っていた。彼は葉黙と気が合う者同士なので、葉黙が寧海大学に入学した時からそうだったし、葉黙が葉家から追い出されても、何も変わらなかった。