流蛇に入ると、彼らは石造りの家の前で停車した。葉黙が興味深く感じたのは、この家の構造が非常に特別だという点だ。この家は半円形で、モンゴルのゲルのような形をしており、窓はあるものの、家の石壁にぴったりと嵌められている。
卓愛国は運転手の于くんと蕭蕾を一緒に中に入れず、葉黙だけを連れて石造りの家に入った。
この家の中はかなり広い。大広間には二十人以上の人がいる。どの人もが屈強で、殺気さえ漂わせたものもいるようだ。素人目にも、命知らずの乱暴者だと分かる。上座に座る長髪の男は精悍な表情をしていて、その両脇にいる二人が銃を持っている。他の者たちも全てマチェットのような、銃刀法違反にした刃物を手にしている。
卓愛国と葉黙が入ってくると、上座の長髪の男がまだ何も言わないうちに、入り口から二人の屈強な若者が葉黙と卓愛国のボディチェックをしようと近づいてきた。しかし、この二人が葉黙の傍に来たとたん、葉黙は片手で一人ずつ、まるで小動物を掴むように投げ飛ばした。二人は砲弾のように、正確に入り口から外へ飛ばされた。
周りのマチェットを持った者たちはこの状況を見て、一斉に手にした刃物を構え、長髪の男の指示を待った。その男は葉黙がこんなにも軽々と二人の大男を投げ飛ばしたのを見て、目に驚愕の色を浮かべたが、すぐさま我に返り、手を振って部下たちに落ち着くように命令した。その後、両側の二人に「お前たちは先に下がれ。石頭と影だけは残れ」と話した。
しばらくすると、この部屋には長髪の男と二人の部下、そして卓愛国と葉黙だけが残ることになった。
長髪の男は理解した。この若者は一目で手強い存在だと分かる。こっちは人数が多いものの、おそらく彼の相手にはならないだろう。だから丁寧に対応することにした。あんなにも簡単に二人の大男を投げ飛ばすなど、普通の人間には決してできないことだ。しかも彼も悪事を働くつもりはないように見える。そう思うと長髪の男はすぐに拱手して「卓社長、お会いできて光栄です!そちらの方は…」と尋ねた。
そう言いながら、葉黙の方を見ている。