例の場所を見つけた

葉黙は微笑んで言った。「言ってごらん。とくに手間がかからないことなら、ついでに手伝ってもいい」池婉青は彼にいい印象を残したので、彼女の役に立てるなら、ほんの少しの時間くらい、手伝ってもいいと思った。

「実は、いとこの姉が江南省の洛倉市で会社を経営していて、今人手が足りないの。もし時間があれば、その会社で働いてもらえないかしら。とても簡単な仕事で、工場を巡回するだけなの」池婉青は嬉しそうに提案した。この二、三十分で、一年分の笑顔を使い果たしたような気がした。

葉黙はすぐに彼女が自分を助けようとしているのだと理解した。しかも彼女は、彼の面子を潰さないように、あるいは彼のプライドを傷付けないように、手伝いを頼んでいるような言い方をしたのだ。そうでなければ、そんなうまい話はないはずだ。特に何もせずに、お金がもらえる仕事なんて、この世に存在しないから。

彼女は細やかな気配りのできる女性だが、自分の性格は分かっていないようだ。だから彼のプライドを傷付けないようにした。

軽く微笑んでから、葉黙は答えた。「ありがとう、池婉青。就職したい時は、必ずその会社に行くさ。でも実を言うと、俺は何もできないんだ」

葉黙は池婉青の好意を直接断らなかった。たとえ彼女のいとこの工場で働くとしても、当面は無理だ。まだ「銀心草」を育てなければならない。あの「銀心草」が成熟するまでは、ここを離れるわけにはいかない。

「でも本当に楽な仕事だよ…」と言った後、池婉青は自分の言葉があまりにも露骨だと感じたようで、急いで付け加えた。「工場内を巡回するだけでいいんです」

「それでは…葉さん、電話番号を教えるから、携帯に保存してください」池婉青はそう言って、葉黙に電話番号を教えようとした。

しかし葉黙の答えは、「俺、携帯を持っていないんだ」

池婉青は一瞬驚いた。この時代に携帯を持っていない人が、本当にいるのか?しかし葉黙の服装や、まだ仕事がないという話を考えると、おそらく本当に携帯を買う余裕がないのだろう。

池婉青が困ったような表情を見せると、葉黙は軽く微笑んで言った。「でも記憶力に自信があるから、教えてくれれば、頭で覚えられる」