初春。
バラック密集地の霊農たちは皆、顔に喜びの色を浮かべている。中には、珍しく新しい衣に着替えている者もいて、まるで何かの祭りにでも参加するかのようだ。
方夕は竹林の中をさらさらと歩きながら、右手を軽く振るった。
青禾剣が飛び出し、竹の一節を斬り落とす。
彼は竹筒をこつこつと叩き、中から聞こえる厚みのある音に満足げに頷いた。「霊米が実ったぞ」
次の瞬間、方夕は地面に火を燃やし、竹筒を炙り始めた。
時間が経つにつれ、米と竹の混ざった清々しい香りが、ふわりと広がり始める。
これは霊竹米のもう一つの食べ方、竹筒飯だ。
ここの間、彼は竹林にずっと詰めていた。丹精込めて育てた霊米を見守り、盗人や害虫から守るためだ。
そのため、大涼にすら行っていなかった。
そして今日、ついに収穫の時を迎えたのだ!
パン!
しばらくして、竹筒が弾け、中からたっぷりの霊米が現れた。
実ったばかりの霊米は粒ぞろいでふっくらとしており、舌の上に乗せるととろけるようだ。特にその清々しい香りは、心身にしみわたる。
方夕が持ってきた干し肉を添えれば、立派な食事だ。
腹ごしらえを終え、体内に霊気が満ち溢れるのを感じた方夕は、すぐさま長春訣の功法をひと通り行った。
それだけでなく、功法を終えた後、彼は構えを取り、両掌を鍛え始めた。
「おや…方さん、練体でもしているのかね?」
どれほどの時間が経っただろうか。武道に没頭していた方夕は、揶揄するような声に顔を上げた。見ると、鉄葉舟の法器が一艘、空からゆっくりと降りてきて、中から一人の男が降りてきた。
相手は三十歳くらいの男修行者で、水色の員外服を着ており、顔には笑みを浮かべ、福々しい印象だ。
方夕はすぐに練武を止め、立ち上がって愛想笑いを浮かべた。「司徒管理人様、ご機嫌麗しゅう」
彼が自分を見ているのに気づき、慌てて笑いながら言った。「いえ、ただ暇つぶしに凡人の武道を少しばかり。お恥ずかしい限りです…」
この水色服を着た太った男は「司徒英」といい、司徒家の者で、霊田の一部を管理している。
山にいる多くの霊農にとって、生殺与奪の権を握る、まさに皇帝のような存在だ。
「うむ、この霊竹はよく育っている。お前が精一杯働いた証拠だな」
司徒英は竹林の中を歩き回り、霊米の育ち具合を見て、軽く頷いた。
「いえいえ、これも青竹山の人傑地霊、霊気の良さがあってこそです。霊米がよく育つのも、そのおかげです」
方夕はおべっかを使いながら、小さな錦嚢を取り出し、差し出した。
錦嚢の中には、彼に残されたわずかな霊晶が入っていた。
司徒英はそれを受け取り、開けて確認するまでもなく、数を知り、表情をさらに和らげた。「殊勝な心がけだ…よかろう、収穫を始めよ」
この光景に、方夕は前世で読んだ本の内容を思い出した。
昔の地主と小作農の収穫の時も、こんな感じだったのだろうか。
二人とも修行者なので、収穫はあっという間に終わった。
さらさらと
竹林が倒され、竹米となる。
最後に、司徒英は腰の収納袋から専用の大法器を取り出し、重量の計測を始めた。
「収納法器か…」
方夕は司徒英の腰にある、くすんでいて目立たない小さな袋を見つめ、また羨ましがった。
自分は、あのような収納法器を持っていない…
「今年は豊作だな。霊米は二石と四十斤の収穫…地主が半分取るから、百二十斤だな!」
司徒英は算盤を弾いた。「霊竹米の値段が上がったからな。もしお前が自分の取り分を売るなら、霊石四枚で買い取ってやろう…」
方夕は計算し、心を痛めながら言った。「半分だけ…お願いします」
土地の契約では、本来なら収穫の半分、つまり百二十斤の霊米が彼のものになるはずだ。
この霊米を売る場合、司徒家にしか売れない。
司徒家は坊市に米屋も出しているため、容赦なく値段を叩き、渡す霊晶は多くない。
そして霊農もまた修練をしなければならないため、大部分は手元に残すことになる。
しかし、司徒英が方夕の取り分を売れと言い出したのは、欲張りすぎだ。
「半分か、まあいいだろう…六十斤残してやろう」
司徒英は霊米を収納袋に入れ、霊晶の入った小さな袋を投げ渡し、鉄葉舟に乗って去っていった。
方夕が袋を開けてみると、中には霊晶が十八枚しか入っておらず、思わず毒づいた。「吸血鬼め、いつか目にもの見せてやる…」
…
霊竹米の収穫が終わると、次の種まきは夏まで待たなければならない。
ここでの種まきも変わっていて、籾種は必要なく、霊竹の根を成長させ、筍を出させればいい。
そして春に収穫し、夏に再び種をまくまでの間には、農閑期がある。
方夕はぶらぶらと小屋に戻りながら、家を少し改装しようかと考えた。
家の扉を開けると、麦さんの小屋に新しい人がいるのが見え、彼は一瞬、足を止めた。
「こちらは方道友ですね? 私は新しく来た霊農の陳平と申します」
陳平は二十代か三十代に見え、練気期初期の修為で、見た目は平凡だった。
彼は愛想よく笑い、下品の「除塵符」を差し出した。「つまらないものですが、どうぞ召し上がってください」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
方夕は笑顔で挨拶を返し、自分の部屋に戻って顎を撫でた。「今までの霊農は、贈り物をするといっても菓子や霊米くらいだったが…この新しい道友は、ずいぶんと裕福なようだ…もしかして、符術師なのか」
しかしすぐに、感慨深げにつぶやいた。
麦さんは数十年間も霊農をしていたが、死んでしまえば、彼を覚えている者は少ない。住んでいた小屋や田畑も、すぐに他の人に譲り渡されてしまう。
これこそが修行界の現実なのだ!
最底辺の修行者は、蟻や韮のようなもの…適当に刈り取っても、どうせまた生えてくる。
「昨日は麦さん、明日は我が身かもしれない!」
方夕は自嘲気味に笑った。
自分の性格では、自分のことを覚えていてくれる人は、もっと少ないだろう。
「まあいい…ちょうどこの農閑期を利用して、しっかりと修練しよう」
長春訣の練気期三段の功法は、毎日練習しているが、進捗は遅い。
それよりも、白雲掌という武道のほうが、目覚ましい進歩を遂げている。
…
大涼。
白雲武館。
「方先輩!」
「先輩、こんにちは。」
白い武道着を身につけた方夕が武館に入ると、外院の弟子たちは、こびへつらうような、憧憬の眼差しを向けた。
もし最初、彼らが方旦那の財力に屈していただけだとしたら、今は強者への憧れも加わっている。
理由は他でもない、方夕の進歩の速さは、あまりにも速すぎたのだ!
入門が非常に早かっただけでなく、自宅で気血一変の修練を終え、さらに少し前には気血二変を突破したと宣言したのだ!
これには、多くの者が陰で嫉妬した。
「しかし…嫉妬したところで、何になる?」
方夕は微笑んで、白雲武館の内院に入った。
「大師姉!」
慕縹緲に挨拶した後、彼は土かまどの前に立った。
このかまどは青レンガで築かれ、上に鉄鍋が据えられていた。
方夕が来ると、すぐに使用人がかまどに火をつけ、鉄鍋の中に麻袋に入った薬材を次々と入れていった。
よく見ると、薬材の中には、蠢くムカデや蜘蛛などの毒虫が混ざっており、背筋がゾッとする。
「白雲掌は、煉焼術で気血二変に入った後、掌力に毒を込める修練を始める!」
方夕は自分の両手を見つめた。
二度の気血変化を経て、彼の両手の皮膚は牛革のように丈夫で、力強い。
これが毒功修練の基礎となる。
掌力に毒を込めるということは、自分の体を傷つけることでもある。
白雲武館には専用の解毒薬があるとはいえ、日々積み重ねれば、恐ろしい傷となる。
がんがんと
炎が激しく鍋底を舐め、鍋の中の液体はますます濃くなり、青黒く、生臭くなっていった…
方夕は表情を変えず、水が沸騰したら直接両手を突っ込んだ。
ざぶっ!
沸騰した毒液が両手の間で揺れ動き、彼は黙々と気血変化を運転し、毒素の力を吸収した。
「やはり、気血二変を経た強靭な体魄、そして気血があってこそ、わずかに毒素を吸収できるのだ…あまりにも先走って修練すれば、両掌が毒でダメになってしまう!」
半刻の修練の後、方夕は真っ赤になった両手を引き上げ、自分の掌を見つめた。
掌の中には、気血を巡らせるたびに、灰色の塊が現れる。
「これが毒掌か?烏雲境界の白雲掌?いや…まだ始まりに過ぎない…」
白雲掌には三つの段階がある。白雲、烏雲、黒雲!
そのうち白雲は気血一変と二変で、両手が玉のように白い。
烏雲は気血三変の段階で、功を運転すると両手が真っ黒になり、毒功が小成する。
方夕は今、二変と三変の中間段階にいた。
最後の黒雲級については、真の真力を練成し、毒掌が大成することだ!
噂によると、慕蒼龍が本当に運功する時、両手は墨のように黒く、掌風にさえ猛毒が含まれているという!
「私は財力があり、様々な毒を購入し、掌に込めることができる。だから進歩が早い…」
方夕は掌を収め、黙々と自分の武道の進捗を考えた。
それ以外にも、自身の霊識で体内を観察し、体の損傷を修復し、毒素を排出できることも、大きな強みだ!
これほど多くの強みが重なり、方夕の白雲掌の進捗は、一日千里、武極をも超えてしまった。最近、彼は人前では相変わらず熱心だが、背後からの視線は、何とも言えないものがある。
「この武館の中で、武功だけで言えば、私より上なのは慕縹緲と慕蒼龍だけか?」
方夕は密かに考えた。
「武極はものにならない。劉濤濤は心性に欠ける。誠実さで言えば、将来は唐旋が追い上げてくるかもしれない…少し交流しておくか。」
彼が考えていると、顔立ちの整った武極が後院にやってきて、顔に優しい笑みを浮かべた。「方師弟…」
「武先輩、何かご用でしょうか?」方夕は眉を上げた。
「それが…兄は最近武功の修練のために、財布の中身が寂しくなってしまって、師弟は…」
武極は、いきなり金の無心だ。
「この友情の舟も、もうすぐ転覆しそうだな。」方夕は内心で目を回した。