第15章 睡眠障害

沢田夢子は急いで探るように尋ねた。「庄司様があなたと黒田悦男が一緒にいるところを見て、何か誤解して、怒ってあなたを追い出したんじゃないの?」

雨宮由衣はそれを聞いて、ゆっくりと答えた。「どうして庄司輝弥が私と黒田悦男を見たって知ってるの?彼はあの数日間、家にいなかったでしょう?あなたが一番よく知ってるはずじゃない?」

沢田夢子は即座に言葉を詰まらせながら、「私...私が推測しただけ...うっかり見つかっちゃったのかと思って!とにかく、学校に戻ってから話しましょう!」

「いいわ」雨宮由衣は冷笑して、電話を切った。

焦る必要はないわ、沢田夢子。私たちの間の借りは、ゆっくり清算させてもらうわ!

最上階のマスターベッドルームにて。

雨宮由衣が去った後、催眠術師は部屋に戻り、再び催眠術の準備を始めた。

「九様、始めましょうか?」

庄司輝弥は何か考え事をしているようで、彼の言葉を聞き取れたかどうかも分からず、ただ軽く手を上げただけだった。

そこで、催眠術師は音楽を流し、特製の香を焚き、心理誘導を始めた...

30分後...

1時間後...

2時間後...

催眠術は失敗。

数々の難症例を解決し、世界ランキング1位の傭兵団に上級心理カウンセラーとして雇われているトップクラスの心理専門家・黒川尊は、N回目の人生の疑問を抱き始めた。

庄司輝弥の治療をするたびに、自分が偽医者のような気がしてならない...

2年前に庄司輝弥が雨宮由衣という女性と付き合い始めてから、彼女が逃げ出したり反抗したりするたびに、彼の不眠症状が悪化していた。

しかし井上和馬によると、その女性は最近理解を示し、おとなしくなったというではないか?

先ほど彼女に会った時も驚いたが、その女性は化粧や服装だけでなく、全体的な雰囲気や印象も変わっていて、以前のような暗さがなかった。

その女性が庄司輝弥を刺激しなくなったのなら、なぜ今回も催眠術は失敗したのだろう?

庄司輝弥の状態が悪化していることに気付いた黒川尊は、表情を一層深刻にして急いで尋ねた。「九様、今日何かありましたか?先ほどの雨宮さんは何を仰っていたのでしょうか?」

庄司輝弥は固く閉じていた目を一瞬で開き、瞳に冷たい光が走った。

強大な威圧感に、黒川尊は仕方なく更なる質問を諦めた。