第13章 甘いスイカは本当に嫌い?

これは雨宮由衣が初めて庄司輝弥の部屋に入った時のことだった。

一歩踏み入れた瞬間から、強い圧迫感を感じた。

部屋全体の色調は異常なほど重苦しく、目立つ場所に高級そうなオーディオ設備が置かれ、そこからは穏やかな催眠術用の音楽が流れていた。カーテンは隙間一つ見せないほど完全に引かれ、空間は完全に密閉されていた。

部屋の中で最も目立つのはお酒で、向かいの大きなワインセラーには様々な洋酒が一列に並んでいた。

庄司輝弥の他に、もう一人部屋にいた。

庄司輝弥の催眠術師、黒川尊だ。

様子を見るに、先ほどまで庄司輝弥は就寝の準備をしていたようだ。

ふむ、寝るだけなのに、随分と面倒なことだ……

昨夜は随分とよく眠れたようだけど、三日間眠れなかったせいかしら?

催眠術師の黒川尊は、化粧を落とした雨宮由衣を見て、瞳の奥に明らかな驚きの色を浮かべたが、すぐに普段の表情に戻った。