これは雨宮由衣が初めて庄司輝弥の部屋に入った時のことだった。
一歩踏み入れた瞬間から、強い圧迫感を感じた。
部屋全体の色調は異常なほど重苦しく、目立つ場所に高級そうなオーディオ設備が置かれ、そこからは穏やかな催眠術用の音楽が流れていた。カーテンは隙間一つ見せないほど完全に引かれ、空間は完全に密閉されていた。
部屋の中で最も目立つのはお酒で、向かいの大きなワインセラーには様々な洋酒が一列に並んでいた。
庄司輝弥の他に、もう一人部屋にいた。
庄司輝弥の催眠術師、黒川尊だ。
様子を見るに、先ほどまで庄司輝弥は就寝の準備をしていたようだ。
ふむ、寝るだけなのに、随分と面倒なことだ……
昨夜は随分とよく眠れたようだけど、三日間眠れなかったせいかしら?
催眠術師の黒川尊は、化粧を落とした雨宮由衣を見て、瞳の奥に明らかな驚きの色を浮かべたが、すぐに普段の表情に戻った。
彼女が来たのを見て、自ら退室した。
頭上の妖しく黄色い光の下、庄司輝弥はバーカウンターに向かって座り、酒を一杯注ぎ、「話せ」と言った。
雨宮由衣は既に言葉を練っていたので、躊躇することなく直接切り出した。「私たちの関係について話したいの!」
「俺たちの関係?」男は眉を寄せ、目を細めた。
雨宮由衣は頷き、真剣な口調で尋ねた。「そう……庄司輝弥、あなたは私たちの今の関係をどう思っているの?」
庄司輝弥はほとんど躊躇なく答えた。「お前は俺のものだ」
雨宮由衣:「……」
この答え方のパターンに、雨宮由衣はもう慣れすぎるほど慣れていた。
まるで以前、なぜその人が自分なのかと尋ねた時に「お前しかいないから」と答えたのと同じように。
どちらも彼女には全く理解できない答えだった。
雨宮由衣は男の答えを無視するよう自分に言い聞かせ、続けて話し始めた。「庄司輝弥、ずっと分からなかったの。なぜあなたが私を選んだのか。あなたの地位や身分なら、どんな女性でも手に入れられるはず。太めが好みでも、マニアックな趣味でも、あなたの好みに合わせようとする人は無数にいるはず。
理由が何であれ、もうそれは変えられないことなら、せめて私たちの関係を変えることはできないかしら?