第29章 彼女には勇気も資格もない

笑い声の中、二宮晴香は顔を曇らせながら言った。「雨宮由衣、ここで私と口先だけの争いをするのはやめなさい。今更怖くなって後悔しても遅いわ！清風は百年の歴史を持つ名門校よ。清風を卒業した者は誰もが優秀な人材、社会の柱となる人たち！あなたのような屑、社会の寄生虫は清風の恥なのよ！

もし少しでも恥を知る心があるなら、今すぐ荷物を持って出て行きなさい！それとも、絶縁状態のあなたの両親を呼んで連れて行かせましょうか？」

雨宮由衣の両親について触れる時、二宮晴香は意図的に語気を引き延ばし、顔には嘲笑と軽蔑の色が満ちていた。

「絶縁」という言葉を聞いた瞬間、雨宮由衣の瞳孔が急激に縮んだ！

これは彼女が転生してから常に避けてきた、最も直面したくなかったことだった。

前世では、黒田悦男と一緒になれない原因をすべて両親のせいにし、絶え間なく彼らと口論し、数え切れないほどの過激な言葉を投げつけ、彼らの心を傷つける行為を重ねた。最後には彼らと絶縁まで し、自分のことに一切関与させないようにした。それは自分についた所謂「汚点」から逃れるため、ただ悦男に少しでも自分を見てもらいたかっただけなのに……