第37章 大悪魔、到来!

放課後。

雨宮由衣はため息をつきながら寮に戻った。

やっと庄司輝弥を落ち着かせたと思ったのに、こんなことになるなんて!

今はまだ試用期間中だから、むやみに断れない。だから庄司夏に自ら降板を申し出させるしかない。

うーん、明日は甥っ子に「サプライズ」をプレゼントしてやろう。秘蔵のメイクアップもまだ披露していないしね!

雨宮由衣は人をからかう計画を密かに練りながら、着替えを持ってバスルームに入った。

メイクを落とし、熱いお風呂に入ると、全身が生き返ったような気分になった。

「わぁ〜私が見たあの美人は誰かしら〜鏡の前に立っている私自身だったのね〜首に巻かれている冷たいものは何かしら〜私の金のネックレスは2000円以上もするのよ〜私は毎日神様に感謝してるの〜毎朝目覚めるたびに感謝の気持ちでいっぱい〜そして自然と自分を愛してしまうの〜そう、私には他の誰も必要ないの〜〜〜」

雨宮由衣は歌を口ずさみながら、髪を乾かし、手を伸ばして洗面所のドアを開けた。

「私みたいな魅力的な女の子〜私みたいな可愛い女の子〜私を追いかける人は銀河系まで続いて...あ...」

ドアを開けた瞬間、雨宮由衣の表情が凍りついた。

彼女の机の横にある安っぽい塗装が剥げた椅子に、一人の男が座っているではないか。

男は背筋をピンと伸ばして座り、白く長い指で彼女が今日受け取ったばかりのテスト用紙を持っていた。いつものように深い黒のスーツは窓の外の夜よりも冷たく、襟元の銀色の模様が冷たい光を放っていた。深い淵に浸された氷のような瞳には、人間的な感情が一切宿っていなかった。

彼女のごく普通の女子寮は、まるで百鬼が呼び交わす地獄に変わったかのようで、男が座っているのは塗装の剥げた小さな木の椅子ではなく、巨大な黒竜が絡みつく魔王様の玉座のようだった...

庄...庄司輝弥!!!

「バン!」という大きな音とともに、雨宮由衣は勢いよく洗面所のドアを閉めた。

きっとドアの開け方が間違っていたに違いない!

どうして一瞬で地獄に来てしまったの!

1秒が過ぎ...

2秒が過ぎ...

3秒が過ぎ...

雨宮由衣は心臓が激しく鼓動し、血液が逆流し、頭の中が真っ白になった。

おそらく丸1分が経過してようやく心を落ち着かせ、そっと洗面所のドアを少しだけ開けてみた。